今年のクラシック候補を関係者に聞くと、多くの人から名が挙がったのがトーセンスターダムとバンドワゴン。その2頭が早くも対決するということで注目が集まったきさらぎ賞。
デビューから2戦と同様にバンドワゴンが逃げの手に出て直線を向いたが、これまでのように後続を突き放すことができない。そこへライバルのトーセンスターダムが少しずつ差を詰め、最後はアタマ差捉えて無敗の3連勝を達成した。
「完成度も仕上がりもバンドワゴンのほうが上に思えただけに、現時点でトーセンスターダムが勝ったのは価値がある。馬体重が10キロ増えていたが、全く太目感が無く、成長ぶん。これも好感が持てる。
武豊騎手が無理せず馬に合わせ、負担をかけない競馬をさせているのも後を考えると大きい。3連勝は全て少差だが、このあたりも武豊だからできること。他の騎手なら、無理にちぎったり、逆に届かなかったなんてこともあっただろうね。
長くいい脚を使えるので、皐月賞より断然ダービー向き。昨年のダービー馬キズナの同時期と比べても、こちらほうが上だろう。厩舎もダービー目標に余力を持った仕上げをしているから、まだまだ変わり身も見込める。ダービーの頃はどんな馬になっているか楽しみ」(専門紙記者)
この一勝でローテーションも楽になり、トーセンスターダムはダービーへ向けて他馬を一歩リードしたと見て良かろう。
対するはバンドワゴン。2着に負けたとはいえ、差はわずか。高い能力は改めて伝わった。
「トモがしっかりして筋肉も見え、身も詰まった感じで、ボリュームは十分。馬体はいいんだけど、馬場入り後は激しく首を振り、テンションは高めと気性は問題がある。スタートも良くなく、オールステイに先手を取られると、かかってこれを交わしに行き逃げる形に。ここ2戦のような余裕がレース中も感じられず、最後は捕まってしまった。でも、この内容で少差2着なのだから、能力は高い。皐月賞ならトーセンスターダムを逆転する可能性はある」
ただ、バンドワゴン陣営は今回の内容に不満があるようで、戦略の変更もあるかもしれない。
「将来は、抑えて競馬ができるようにしたいという考えはあるだろう。でもクラシックを狙うなら、現状は今までと同様小細工せず、行く気に任せて逃がしたほうがいいのでは。気性的に、すぐに差して勝つ形ができる馬とは思えない。内にモタれる面もある以上、差しは危険」
と戦法の変更を危惧する関係者もいる。
ダービーへ向けて視界良好のトーセンスターダム。クラシック直前に問題を露呈したバンドワゴン。着差はアタマでも、両者のレース後の雰囲気は、それ以上に差があるようなイメージだ。
クラシック候補と言えば、ゆりかもめ賞に出走したラングレー。目標のダービーを目指し、東京芝2400m戦に出走してきたが、しっかり1番人気に応え快勝した。
「京成杯は、合わない小回りコースに、ぶつけられるは狭いところに入るは、自分の競馬が全くできなかった。今回は広い東京コースで変わったね。ハイレベルの東スポ杯で4着に入った馬。条件戦ではレベルが違うはずだよ。
相手を考えれば、着差はちょっと物足りないかもしれないが、ペースが遅く他の馬も脚が余っていたため、差はそれほどつかなかった。内容的には、着差以上の差があったよ。昨年のキズナ同様、皐月賞を捨ててダービー一本に絞れば、本番も面白い存在だよ」
とは3歳戦に詳しい専門誌記者。
桜花賞ロードの一つであるエルフィンSにも触れておきたい。
「馬場が悪いうえに、レースもスロー。これを見越してシャイニーガールが早めに仕掛け、まんまと粘り切った。鞍上の秋山騎手の腕が光った。
もったいなかったのはショウナンパンドラ。終いの脚は段違いで、完全に脚を余した。オークス向きだけど、このレースを見ると桜花賞も2着くらなら狙える力はある。ただ馬体が小さく、徐々に体重も落ちている。だから、ここを勝って楽に本番を迎えたかった。これでトライアルで勝負をかけざるを得なくなり、馬体の維持が難しい」
ショウナンパンドラは能力は高いものの、次走も馬体が減っているようだったら、評価を落とすことも必要だ。
(栗東在住ライター:鷲崎)
栗東在住ライター:鷲崎
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