秋の中長距離のGⅠ3戦(天皇賞・春、ジャパンC、有馬記念)は、賞金的に天皇賞・秋はワンランク落ち、有馬記念は中山コースを嫌う陣営もあり、このジャパンンCこそが国内チャンピオン決定戦のイメージが強くなっている。だが今年は雰囲気が違う。史上最強牝馬の評価もある3歳牝馬アーモンドアイが出走するのに対し、古馬勢の大将格レイデオロが回避したからだ。
「鞍上(ルメール騎手)が重なるとはいえ、この2頭が対決しないのは残念ですね。次の有馬記念も、今度はアーモンドアイが回避する可能性が高いから、どちらが強いのか分からないまま今年は終わってしまう。天皇賞・秋の勝ち馬がジャパンCに出ないなんて異例中の異例。それだけアーモンドアイは凄い馬という認識が、ノーザンFにもルメール騎手にもあるということでしょうね」(競馬専門誌記者)
新馬こそ2着に負けたものの、2戦目からは5連勝し、牝馬3冠はどれも危なげなく快勝。これまでメジロラモーヌ、スティルインラブ、アパパネ、ジェンティルドンナと4頭の3冠牝馬が生まれたが、どの馬も3冠レースのうち一つくらいは苦戦もあるもの。しかしアーモンドアイの場合は、どのレースも他を圧倒している。
「秋華賞でハナ差勝ちと苦しんで3冠を達成したジェンティルドンナでも、ジャパンCではオルフェーヴルを倒し、3歳牝馬にしてジャパンCを制しています。ならばジェンティルドンナ以上の強さで3冠を制したアーモンドアイは、ジャパンCも勝てる計算になります」
そう聞くとアーモンドアイに敵はいない感じだが、レイデオロ不在とはいえ、そこまで簡単に古馬勢が3歳牝馬にやられてしまうのか。特に有力馬がひしめく関西馬の情報を聞いてみたい。
「一番気になるのはサトノダイヤモンドだろうね。京都大賞典で久々に勝利し、復活ムードも高まっている。そんな感触も陣営は掴んでいる反面、京都大賞典のレースレベルにも疑問を持っているのか、前走から多少の良化では通用しないと考えている部分もあるようだ。確かに京都大賞典レベルの内容では、とてもGⅠでは足りない。復活のきっかけを掴むためにも、前走は勝ちに行った(仕上げた)ところもある。だから大幅な上積みもそれほど期待はできない。モレイラへの乗り替わりで、大きく変わればいいけど。
マカヒキも前走で底が見えてしまったし、キセキも菊花賞は重い馬場のおかげで折り合ったけど、良馬場で2400mは折り合いが難しい」(関西記者)
不安だらけのGⅠ馬の面々だが、次の2頭は明るい話もあった。
「天皇賞・秋で人気を裏切ったスワーヴリチャードだけど、スタート直後の不利で位置を大きく下げ戦意喪失。残り1Fあたりからはデムーロも追ってないからね。もはや競馬にならなったから、あの大敗は無視していいと思う。もともと天皇賞よりジャパンC狙いだから、仕上がりも今回のほうが上。2400mに距離が延びるのもいい。
昨年の勝ち馬シュヴァルグランも、前走の京都大賞典は物足りなかったが、昨年の京都大賞典もスマートレイアー、トーゼンバジルに負けて3着、続くジャパンCを勝っているから大丈夫。ボウマンが騎乗停止で乗れないが、癖がないので騎手が変わっても問題ない。稽古も、大きく追走したせいで遅れたが、時計は前走よりも良くなっており変わり身はある。春も大阪杯13着から、天皇賞・春で2着になったように、叩き台と目標レースの差が大きい馬。この馬にとって一年の最大目標はジャパンCだから、今回は買えるよ」
話を聞く限りスワーヴリチャード、シュヴァルグランで自信があるように思えるが、対アーモンドアイとなると期待度はどれくらいあるのか。
「さすがに厳しいかなあ。だだでさえ怪物級なのに、斤量差が4キロもある。あのオルフェーヴルも、斤量4キロ差には勝てず、ジェンティルドンナに屈した。スワーヴリチャードもシュヴァルグランも、オルフェーヴルに比べれば落ちるので、アーモンドアイに勝つのは難しいかな」
古馬の大将レイデオロがいないのだから、こうなるのも仕方がない。
今年のジャパンCは、断然人気でもアーモンドアイの頭固定で堅い雰囲気だ。相手も絞らないと儲からないので、せっかく話をいただいたスワーヴリチャード、シュヴァルグランをお勧めしておきたい。
(栗東在住ライター:鷲崎)
栗東在住ライター:鷲崎
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