先日行われた阪神大賞典は、例年に比べて低調なメンバーだった。それもそのはず、阪神大賞典は出走馬全てが6歳以上の馬ばかり。ハイレベルと評される4歳世代だけでなく、5歳馬も不在だったことが影響している。
大阪杯は、その阪神大賞典の真逆。登録15頭中、6歳以上の馬は2頭だけで、他は4、5歳世代ばかり。今年の大阪杯は「4歳対5歳」の世代対決となる。
最強世代の評価もある4歳世代は、アーモンドアイ、ダノンプレミアムの大物2頭が不在だが、それでもダービー馬ワグネリアン、皐月賞馬エポカドーロ、NHKマイルC勝ち馬ステルヴィオ、そしてグランプリホースのブラストワンピースとGⅠ馬が4頭。
これに対し、5歳世代も負けていない。こちらも世代代表のレイデオロこそ不在だが、皐月賞馬アルアイン、菊花賞馬キセキ、マイルCS勝ち馬ペルシアンナイトとGⅠ馬が3頭。更に昨秋の天皇賞2着のサングレーザー、上昇急のエアウィンザー、重賞2連勝中のスティッフェリオ、京都記念を勝ったダンビュライトと粒揃いだ。
このような4歳世代対5歳世代という構図が今年の大阪杯だが、よく見ると年齢だけでなく、厩舎にも偏りがある。池江厩舎は、いつものようにアルアイン、ペルシアンナイトのGⅠ2頭出しだが、ほかにも角居厩舎はキセキとエアウィンザー、友道厩舎はワグネリアンとマカヒキの両ダービー馬、音無厩舎は前走重賞勝ち馬コンビのスティッフェリオ、ダンビュライトと、それぞれ有力馬を2頭出ししている。
「池江、角居、友道、音無厩舎はGⅠでもリーディング争いでも常連の一流厩舎。GⅠに2頭出しは珍しくないけど、それにしても一つのGⅠにこれだけ同厩舎の有力馬2頭出しが並ぶのは珍しい。まるでプロレスのタッグマッチみたいだね。
豪華なのは、ダービー馬2頭の友道厩舎だけど、マカヒキは近走成績からこのメンバーではきついから、期待はワグネリアンになるだろう。久々だが、長めから時計を何本も出しているし、仕上がりは悪くない。ただ内回り向きではないので、そのあたりの対応はカギになる。
毎度の2頭出しになる池江勢は、アルアインのほうが小回り向きだが、前走である程度勝負に出た感もあるので、今回はペルシアンナイトのほう勝負。昨年の大阪杯もアルアインに先着し、2着に来ているからね。ただ相手は昨年より今年のほうが全然強い。
角居勢は、JCの内容からキセキがメインだろうな。有馬記念はさすがにピークが過ぎた感もあったが、それでもレースでは見せ場をつくった。脚質的に内回りは有利だ。エアウィンザーも切れるタイプではないので、内回りに変わるのはいい。前走は馬場が少し渋っていたが、できればパンパンのきれいな馬場のほうがベターだ。
音無勢は、さすがにGⅠではきついかな。
それぞれ2頭出しの厩舎はワンツーを狙っているだろうが、今年のメンバーでは難しいだろうな」(関西記者)
2頭出しの厩舎で上位を占められても不思議ない顔ぶれだが、今年は他にも有力馬がまだまだいる。
「エポカドーロは、叩いて良化。仕上げ上手の藤原英厩舎だから、GⅠの今回は大幅に上げてくるだろう。昨年秋の結果を見ると、やはり距離には限界があり、2000mがベスト。陣営も分かっているから、ここは勝負だろう。
サングレーザーは、天皇賞の結果から力は足りるけど、速い時計が少ない。ちょっと急仕上げ気味だな」
関東馬は登録がたった2頭。うち一頭が、昨年のグランプリホースであるブラストワンピースだ。
「いつものように天栄でつくってきますから、仕上がりは気にしなくていいと思います。もともと大器と言われながら、ダービー、菊花賞は不発。本当に強いのか?って疑問も持たれていましたが、有馬記念で大器を証明しましたね。レイデオロを破ったんですから、この相手でも当然好勝負になるはずです」(競馬専門誌記者)
有力馬2頭出し厩舎の対決、世代間対決など見どころ満載だが、有力馬が多く馬選びは迷いに迷う一戦。馬券作戦は大いに悩むことになりそうだ。
(栗東在住ライター:鷲崎)
栗東在住ライター:鷲崎
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