昨年の最優秀2歳牝馬ダノンファンタジーが、今年初戦のチューリップ賞を完勝した時は、この馬が今年の牝馬戦線の主役を担うと思われた。
しかし大一番の桜花賞では、新馬戦に続いてグランアレグリアに敗れただけでなく、他馬にも交わされ4着と馬券圏内を外す結果。代わって桜花賞を楽勝したグランアレグリアが主役かと思いきや、こちらはオークスを回避し、NHKマイルCに出走。
こうした流れにより、今年のオークスは一気に混戦模様が濃くなってきている。有力馬ひしめくオークスを制する馬は果たしてどの馬なのか?東西それぞれの有力馬の近況を現場から伝えていただく。
「関東では、フラワーC勝ち馬のコントラチェックと、フローラSワンツーの2頭ですね。コントラチェックは、グランアレグリアと同じ藤沢和厩舎所属で、ノーザンF生産のクラブ馬。グランアレグリアを引っ込め、コントラチェックで勝負となったのは、それだけコノ馬の力を買っているということです。
実際2連勝はどちらも逃げて楽勝。好タイムを出しながら、まだまだ余裕があったように能力の天井は相当高いと見られます。かかり気味に逃げるので東京の2400mがいいとは思いませんが、能力は一枚上でしょう。
フローラSを勝ったウィクトーリアは、新馬勝ちした時から大物と言われてきた馬。その新馬戦で走り過ぎた反動か、その後は不調に陥りしましたが、近2走は連勝。特にフローラSは差して勝ったことが大きいですね。母はGⅠ馬で、兄に重賞勝ち馬がいるように、血統的な面でも他馬に劣りません。
僅かにハナ差負けしたシャドウディーヴァですが、直線で窮屈な最内からよく脚を伸ばしました。早くからオークス向きと言われてきたので、ここは力が入る一戦です。中3週ですが、1週前調教でも速い時計が出せたように、調子は文句ありません。
今挙げた3頭では、能力はコントラチェックがリードしていると思いますが、オークスへの適性、仕上がり面の2つではシャドウディーヴァがリードだと思います」(競馬専門誌記者)
関西馬は、桜花賞上位組が依然優勢なのか。
「桜花賞最先着のシゲルピンクダイヤは、前走後もいい状態で安定している。ダイワメジャー産駒にしては終いが切れるし、折り合えるので距離延長も大丈夫。あとは長距離輸送。こちらは初めてなので、何とも言えないな。
クロノジェネシスは、阪神JFのときもそうだが、桜花賞も道中でぶつけられたり、前が壁になったりと不利が多かった。スムーズなら、この馬が2着だったろう。東京はアイビーSで強い競馬をしており問題なし。
ダノンファンタジーは調教からかかる面が出ていたが、それがレースでも出てしまった。最後に4着に落ちたのは、そのあたりも影響しているだろう。距離延長は良くない。
ビーチサンバは相変わらず好調。折り合いもつくし、東京への輸送はクイーンCでプラス8キロだったくらいだから、まったく苦にしない。問題は能力的な面。対ダノンファンタジーは2戦2敗、対クロノジェネシスは3戦3敗で、力関係がはっきりしているからな。
6着以下ではエールヴォアが面白い。桜花賞は7着だが、マイルは短いので出ないという見方もあった馬。実際阪神JFは回避したからね。終わってみれば、やはりマイルは忙しかったが、それでもメンバー2位の上り32秒9をマークし能力は見せた。2400mは、桜花賞のマイルよりは断然いいので、今度は狙えるよ」(関西記者)
桜花賞組は、話からクロノジェネシス、エールヴォアあたりに食指が動くが、この関係者によると桜花賞組よりも、別路線のアノ馬のほうが断然楽しみだと言う。
「桜花賞組もいいけど、やはり一番の楽しみはラヴズオンリーユーだよね。新馬戦を快勝した時から注目していたが、能力を確信したのは白菊賞。他を圧倒し一瞬のうちに外から抜け出した脚は、凄い迫力で大物感は半端なかった。しかも勝ち時計は1分33秒6。前日の古馬1000万下のレースとは内回り、外回りの違いはあったが、そのレースが1分33秒5。エントシャイデンが勝ち、負けた中にはエアアルマス、トゥザクラウンらも含まれる強いメンバーだった。そのレースと時計差がほとんど無いのだから、白菊賞の内容は相当に濃いよ。
このまま阪神JFに出たら自信をもって本命にしようと思ったが、この頃は弱いところもあって休養。その後も順調さを欠き、桜花賞トライアルに間に合わず。そのため桜花賞は諦め、当日の忘れな草賞が復帰戦となったが、ここも決して仕上がりは万全とは言えなかった。そうした状況でも、終わってみれば大楽勝だから、ホントにこの馬の能力は測り知れない。その後はようやく順調に来て、1週前の追い切りでは素晴らしい動きを見せてくれた。兄のリアルスティールが折り合いの難しい馬だったので不安だったが、この馬はそれほどかかるところはないので、2400mは大丈夫。ポテンシャルが高いうえ、上積みも他馬以上に見込めるから、この馬ほど楽しみな馬はいないよ」(関西記者)
話を聞けば聞くほど、ラヴズオンリーユーに引っ張られてしまいそうだ。
混戦模様のオークス。しかしレースが終わってみたら「ラヴズオンリーユー1強」、なんて結果が待っているかもしれない。
(栗東在住ライター:鷲崎)
栗東在住ライター:鷲崎
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