今年の3歳ダート戦線は粒揃いと評判だが、中でも評価が高いのはクリソベリルだ。新馬、500万はともに7馬身差の大楽勝。メンバー強化の兵庫チャンピオンも、ヴァイトブリックに5馬身差をつけ難無く楽勝と、全く底を見せていない。そのクリソベリルはユニコーンSを使わず、現状はジャパンダートダービーに出走予定である。
となるとユニコーンSは、クリソベリルへの挑戦権をかけた戦いとも言えるのだが。
「ユンコーンSは、マイル戦ですからね。例年なら、ここからジャパンダートダービーを狙う馬もいますが、そこにはクリソベリルがいる。ユニコーンSの予定メンバーを見ると、マイル前後が適性の馬が多く、先(ジャパンダートダービー)より、ここ勝負の馬が例年以上に多いのではないでしょうか。特にクリソベリルと所属クラブが同じヴァイトブリックとノーヴァレンダは大勝負じゃないですか」(競馬専門誌記者)
そのヴァイトブリックが所属する関東馬から見ていきたい。
「ヴァイトブリックは、兵庫チャンピオンでクリソベリルから離されての5着。相手が悪かったとしかいいようがないですね。デビュー戦から2連勝し、好メンバーの集まるヒヤシンスSでも少差の2着ですから、力はあります。クリソベリル不在なら好勝負できると思います。
前走でデュープロセスに敗れ、デビューからの連勝が3でストップしたデアフルーグですが、クビ差まで追い詰め脚は目立っていました。それまでは中山のダート1800mを3戦し、流れが変わる東京のマイルで結果を出したのですから、高く評価できます。東京マイルも2度目で更に前進です。
この2頭が有力なんですが、ただ今年は関西勢が強いですね」
その関西勢は、確かに有力馬が目白押しだ。
「実績で上なのはノーヴァレンダ。昨年暮れの交流重賞・全日本2歳優駿を勝っているからね。前走は5着と初めて崩れたが、砂を被って前に進んでいかなかったというから、決して能力負けではない。本来は前で競馬ができるから、砂を被らないようにレースを運ぶことは可能。そのあたりはジョッキーも考えて乗るから、巻き返しはあると思うよ。
ただ勢いのある馬が多いから、実績上位のノーヴァレンダも楽ではない。まずは4連勝中のデュープロセス。前走は初めてのマイルでも、先行してしぶとさを発揮した。2戦前は追い込んで勝ったように脚質に幅があり、展開に注文がつかないのは大きい。
ヴァニラアイスは、端午Sで勝利。初めてのマイル戦となるが、レース上手で折り合いもつくので大丈夫だろう。1週前の坂路で一番時計を出したように、目下絶好調だ。
500万勝ち上がり組もいいのがいるよ。ダンツキャツスルはダートで変身し、前走は2着に5馬身差の楽勝で、時計も速かった。鞍上の幸騎手も強気のようだし、昇級戦でも楽しみだ。
サトノギャロスは2戦目で大変身し、ダ1200mで1分11秒台と驚異的な時計で圧勝。前走は手応えが悪く道中怪しい雰囲気だったが、終わってみれば5馬身差の楽勝だった。1200mからいきなり2F延長でのメンバー強化は不安だが、鞍上の川島騎手は『大丈夫』と言っているというから、そこに期待したい」(関西記者)
これだけでも関西勢は強力だが、まだまだ有力馬はいる。
「面白いのは、芝からの転戦組。特にワイドファラオは、ニュージーランドTを勝ったほどの馬だから、ダートをこなせればアッサリということもあり得る。東京ダートのマイルは芝スタートなので、芝馬にはドバンテージがあるし、先行脚質の同馬なら前へ行って砂を被らずレースを進めることもできる。
ロードグラディオも初ダート。NHKマイルCはシンガリだったが、スタートが悪かったうえに、前が詰まって競馬にならず、力を出し切っていない。その前のアーリントンCは7着も、勝ち馬から差はないから、この馬も能力はバカにできないよ。母はダートの交流重賞を勝ったシンメイフジなので、血統的にはダートはこなせる。もともとスタートは悪くなく、先行する脚もあるので、この馬も芝スタートを生かしたいところだ」
どうやら芝から転戦の2頭も無視できないようだ。
クリソベリルのような大物がいなくてもメンバーは粒揃い。馬券攻略も頭を悩ませることになりそうだが、ヒントは冒頭にも書いたように、クリソベリル不在で大勝負をかける理由のある馬。そこで、クリソベリルと同じキャロットF所属のヴァイトブリック、ノーヴァレンダの2頭をお薦めしたい。
(栗東在住ライター:鷲崎)
栗東在住ライター:鷲崎
WASHIZAKI
熟練競馬ライター達がとある事情で新聞・テレビなど一般メディアでは取り上げられない業界の「アウトな裏話」を会員様限定でこっそりと公開!