かつては3歳、古馬を含めた牝馬チャンピオン決定戦の趣きがあったエリザベス女王杯。しかし最近は、アーモンドアイやリスグラシューなど牡馬勝りの牝馬が続々出現し、海外遠征や牡馬混合GⅠに出走する馬が増えたせいか、エリザベス女王杯のメンバーも少々低下気味。今年のエリザベス女王杯も牝馬チャンピオン決定戦とは言えないメンバー構成だが、あの馬の出走のおかげでGⅠとしてのボリューム感は保っている。その存在がラヴズオンリユーである。
「新馬から3連勝したが、オークスはいきなりのメンバー強化で、正直どこまでやれるか不安もあった。しかしレースへ行くと、大外をまわって最速上がりをマークしての差し切り。勝ち時計の2.22.8秒は、ロジャーバローズのダービー2.22.6秒と少差だし、上り時計は2着のダノンキングリーと近いもの。この比較からも、内容は非常に濃いものだった。
爪の不安で秋華賞には間に合わなかったが、早くに回復し調教を開始。1週前にはCWで6F77秒台の1番時計をマークしたように、仕上がりに不安はない。内回りの秋華賞よりも、能力差がはっきり出やすい外回りのエリザベス女王杯のほうが走りやすいはず。古馬に比べて斤量が2キロ軽いのも有利だし、アーモンドアイ、リスグラシュー、ディアドラら古馬の大物も不在で、無敗の5連勝を決める可能性は十分にある」(関西記者)
調教内容を見ると、久々でも大丈夫のようだが、それでも久々でGⅠは、人気を考えると不安もある。そこでラヴズオンリーユーの連勝にストップをかける候補を探してみたい。
「やはり同じ3歳世代のクロノジェネシスが挙がる。オークスの時は、対ラヴズオンリーユーは完敗。あのまま上積みが無ければ相手にならないが、秋華賞を見ると大きな成長が感じられる。前走は調教を見る限り、仕上がりに不安もあったが、レースへ行けば完勝。あの一戦を叩き、調教内容がグーンと良くなっているところを見ると、秋華賞が万全では無かった可能性もある。それでGⅠを勝ったとなると、やはり春とは馬が違うと考えたほうがいい。ラヴズオンリーユーとの対戦は楽しみだ。
古馬ではラッキーライラックだろうな。3歳春から勝ち星に見放されているが、春のヴィクトリアマイルで好走し、GⅠでもまだまだやれる。この馬も中間の調教から良化が目立ち、叩き台の府中牝馬Sから大幅良化している。2キロ差は痛いが、そのぶんキャリアを生かして逆転を目指す。
その府中牝馬Sを勝ったスカーレットカラーは、前が残る展開を唯一後方から差し切り。かつては決め手不足のイメージもあったが、ここへきて馬が変わってきている。あの脚があればGⅠでも通用すると思う」(関西記者)
古馬もいいが、斤量を考えると、やはり3歳世代のクロノジェネシスが優勢に思えてしまう。
関東馬の情報も聞いてみたい。
「こちらは少々手薄ですね。ゴージャスランチもデットーリ騎手を確保しましたが、力がどこまで通用するか。
未知の魅力なら、4連勝中でまだ天井が見えていないポンデザールですね。前走は初のオープン馬相手でしたが、楽々抜け出して3馬身半差の快勝。ハンデに恵まれたことは確かですが、勝ちっぷりを見ると、それだけが勝因ではなく、かなり力をつけていると思います。
半兄が国内外でGⅠを勝ったサトノクラウン、半弟は新馬戦を強い内容で勝ち将来が楽しみなフィリオアレグロと、血統からはGⅠで好走してもおかしくない馬。気性に問題があって大成が遅れ、今も問題が全く無くなったわけではないのですが、しっかり馬体が維持できれば、好勝負も見込めます」
条件付きだが、底が知れていないポンデザールに賭ける手もありそうだ。
GⅠらしく大勝負の馬も多く、各馬それぞれ魅力はあるのだが、ポテンシャルを考えると、やはりラヴズオンリーユーへの期待が高くなる。牝馬優勢の時代にまた一頭、牝馬の大物が加わることになりそうだ。
(栗東在住ライター:鷲崎)
栗東在住ライター:鷲崎
WASHIZAKI
熟練競馬ライター達がとある事情で新聞・テレビなど一般メディアでは取り上げられない業界の「アウトな裏話」を会員様限定でこっそりと公開!