一昨年の有馬記念勝ち馬ブラストワンピースが復帰戦を迎える。グランプリホースとして迎えた昨年は、天皇賞・春、目黒記念とともに1番人気に支持されながら凡走も、豪華メンバーの札幌記念を勝って復活。凱旋門賞での期待感が大きく高まったのだが、勝ち馬から大きく離される大差負けと、ショッキングなレースとなってしまった。
大敗の影響も考えてか、連覇がかかる有馬記念は回避し、国内復帰戦はアメリカJCCに。肝心の状態はどうなのか。
「本来なら連覇のかかる有馬記念に出したかったはず。それができなかったということは、反動もあったのだと思います。結局、有馬記念から1ヵ月後の復帰戦となりましたが、狙ったレースではないでしょうから、さすがに絶好調時に比べると見劣ります。ただ、メンバーの中にGⅠウイナーはいませんし、ノーザンF勢もミッキースワロー、サトノクロニクルと個人馬主の馬は出ていますが、クラブ系の有力馬は出走を控えた感じがあります。やはりグランプリホースに恰好をつけてほしいのでしょうか」(競馬専門誌記者)
確かに相手に恵まれた感じもあり、GⅠ馬の力を見せつけたいところだが、それを許さないのが社台RH勢だ。
「こんなことを言っては失礼ですが、ノーザンF系のクラブ(サンデーR、キャロットF、シルクR勢)に比べ、目立たない社台系クラブ(社台RH)。ただ、今回は違います。社台RHは、ラストドラフト、ステイフーリッシュ、スティッフェリオと有力馬3頭を同じレースに送り込んできました。ジョッキーも、ステイフーリッシュにルメール騎手、ラストドラフトにマーフィー騎手と、普段ノーザンFの有力馬に騎乗している外国人騎手を確保してきたのですから、相当に意欲を感じます。
関東では、ラストドラフトですね。秋初戦のオクトーバーSは、休養明けに、展開不向きもあって凡走しましたが、一叩きで迎えた中日新聞杯は一変。ゴール寸前にサトノーガーネットに捕まりましたが、馬群から抜け出したときは、一瞬勝利を確信したほど。これで完全復調したと見ていいでしょう。前回からマーフィー騎手が連続騎乗は、この馬を高く評価している表れ。昨年の京成杯を勝っていることから、中山も合うはずです」
関西から遠征の社台RH勢は、ステイフーリッシュ、スティッフェリオの2頭だ。
「ステイフーリシュは、GⅠは苦戦しているが、GⅡ以下では、3歳時のチャレンジC3着以降、同レースを含め5戦連続馬券圏内。GⅠ級メンバーだったGⅡ札幌記念は大敗も、福島記念は2着と、とにかくGⅡやGⅢでは安定していた。それだけに前走のチャレンジC10着は案外だったが、直線で狭いところに入り窮屈になった影響が大きかった。今回はルメール騎手に乗り替わり。ここまで一度も外国人騎手を起用していないし、ここ4戦は中谷騎手で固定。そこからのルメール騎手起用だから、勝負気配は濃いね。
スティッフェリオもGⅠは力負けしているが、GⅡ、GⅢに限れば福島記念、小倉大賞典、オールカマーと連勝中。力の要る今の中山は合うと思うよ」(関西記者)
ノーザンF天国が続くGⅠレース。だからこそ社台F勢は、GⅠでは負けても、GⅡ以下のレースでは意地を見せたいところ。社台RHが有力馬3頭を送り込むアメリカJCCは、特に負けられないレースだ。
(栗東在住ライター:鷲崎)
栗東在住ライター:鷲崎
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