デビュー前から「大物」の評判があったリアアメリアが、期待通り新馬、重賞と2連勝。今世代の牝馬戦線の主役は決まったかに思えたが、単勝1.5倍に推された阪神ジュベナイルフィリーズでまさかの6着。
そのリアアメリアに代わり、新たな主役誕生を予感させたのがレシステンシア。
阪神ジュベナイルフィリーズを5馬身差でレコード勝ちして、デビューから無敗の3連勝。桜花賞へ向けてまっしぐらと思われたが、チューリップ賞で単勝1.4倍の人気に応えられず、直線あっさり捕まり3着。
「レシステンシアの前走は、逃げたと言っても、飛ばした阪神ジュベナイルフィリーズと違い抑え気味の逃げ。結果、決め手勝負になり、この馬には分が悪かった。このあたりはダイワメジャー産駒らしいね。
今回は阪神ジュベナイルフィリーズのようにペースを上げるだろうし、鞍上が武豊騎手なら、そのあたりの塩梅は分かっているはず。ただ、阪神ジュベナイルフィリーズは、高速馬場でレシステンシアのようなタイプにはうってつけの舞台だった。桜花賞は、阪神ジュベナイルフィリーズのような舞台設定になりにくいから、あの時のレースを再現したからと言って勝てるかは疑問。
それと2週前に坂路で51.7秒-11.7秒の好時計を出したが、1週前は坂路56.0秒。馬場が重かったというのもあるが、それにして少し抑えすぎじゃないかな。これまで1週前はしっかり時計を出していたから、いつもと違うメニューがどう出るか。最終追いに注目だね。
リアアメリアの阪神ジュベナイルフィリーズは見せ場なく6着。評価の難しいレースになってしまったが、初めての厳しい展開で、最後までレースに乗れなかったところもあった。追い切りは相変わらず動くね。1週前もCWで1F11秒台半ばの時計を出し、久々でも仕上がりに問題は無い。阪神ジュベナイルフィリーズのときは、直前調教が軽め。もしかしたら、これも敗因だった可能性もあるので、この馬も最終追いは良く見ておきたい」(関西担当記者)
前走の敗因という点では、レシステンシアのほうが納得いくところはある。が、仕上がりのほうは、レシステンシアの1週前の判断が難しい。話にもあったように、最終追い切りが重要になりそうだ。
今年の桜花賞は層が厚く、他にも有力馬が盛りだくさん。大物と思われた2頭が盤石でないことが前走の敗戦で分かり、多くの馬にチャンスの芽が出てきた。
「関東馬だけど、マルターズディオサは栗東に入って調整。CWで6F80秒台の好時計をマークし、終いも持ったままでフィニッシュ。チューリップ賞を勝った後も順調のようだね。
クイーンカップを勝ったミヤマザクラも、馬なりで終い速い時計。クラヴァシュドールも抜群の手応えで先着と動きは文句なし。2連勝のデアリングタクトは3頭併せで遅れてしまったが一杯に追ったわけではないし、全体時計は速いので心配ない。
GⅠらしく仕上がり良好の馬が多いので、最後は能力や適性の勝負。一発の期待は、前走の勝ちっぷりからデアリングタクトだけどね」(関西記者)
底を見せていないという点では、デアリングタクトに大きな魅力がある。
関東馬にも目を向けてみよう。
「マルターズディオサは栗東入りしているので、1週前に美浦にいる中で推せる馬はマジックキャッスルとサンクテュエールですね。
動きが目立ったのはマジックキャッスル。もともと時計は出る馬ですが、ウッド5F63秒台は、内めを回ったとはいえ速いです。躍動感あふれる動きで、調子の良さが伝わってきます。
サンクテュエールも、ウッドで6F82秒台を持ったままマーク。あまり派手な時計を出さない藤沢和厩舎なので、時計、動きともに評価できます。
どちらも推薦できますが、阪神のマイルなら、終いの脚が光るマジックキャッスルのほうが面白いかもしれません」(競馬専門誌記者)
2着続きで人気になりにくい面でも、マジックキャッスルは旨味を感じる。
リアアメリア、レシステンシアがともに前走で人気を裏切り、主役が固定しない今年の3歳牝馬戦線。
この2頭が巻き返し、再度主役の座に就くのか、それとも、このまま主役不在で混戦模様を深めるのか。馬券的には混戦が続いたほうが面白いのだが、クラシック戦線を盛り上げるためには、やはり主役となるヒロインも必要である。
トレセン情報からは、新たな主役候補として、デアリングタクトを挙げる声が多いような気がする。前走の勝ちっぷり、時計はともに文句なし。キャリア2戦で、いきなりGⅠメンバーと戦うのはきついが、これをあっさりクリアするなら、3歳牝馬クラシック戦線に新たな主役が生まれることになる。ニューヒロイン誕生に期待したい。
(栗東在住ライター:鷲崎)
栗東在住ライター:鷲崎
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