朝日杯フューチュリティステークスを制し皐月賞2着のサリオスと、阪神ジュベナイルフィリーズを制し桜花賞2着のレシステンシア。
暮れのマイル2歳GⅠを勝った2頭の対決が見たかったのだが、サリオスは登録無し。こうなるとレシステンシアが断然有利だ。
2歳牝馬の王道路線を歩み、桜花賞はデアリングタクトの鬼脚に屈したが、ハイペースを2番手追走して2着に粘り、2歳牝馬チャンピオンの面目を保った。NHKマイルカップは牡馬相手だが、戦ってきた相手とレースレベルを考えれば、経験値はリードしている。ここは堅い一戦なのか。
「阪神ジュベナイルフィリーズで1.32.7秒の驚異的な時計を出し、重馬場の桜花賞も2着。時計が速くても、かかってもOKとなれば、力が違う感じはある。能力全開なら、この馬で堅い。
ただ不安もある。それが前走の反動。桜花賞は重馬場という発表以上に、馬場が重かった。そんな状態で、レースは1000m通過が58.0秒で、最後の1Fは13.8秒。まるでダートのような上がりになったように、終いはバタバタ。ハイペースを先行したレシステンシアも、最後の1Fは相当かかっただろうし、力を出し切ったはずだ。そんなタフなレースから、1ヵ月で迎えるGⅠってのは厳しい状況だよ。もちろん使ってくる以上は、レース後の疲れが無いと判断したものだし、1週前の坂路でも時計は出せている。でもレースへ行かないと、本当に疲れがあったかどうかなんて分からないからね。恐らく人気になるだろうから、ちょっと怖いよ」(関西記者)
もしレシステンシアが苦戦するようだと、トライアルを勝ったルフトシュトローム、タイセイビジョンや、3戦3勝のサトノインプレッサら、前走重賞勝ちの3頭が浮上する。
「ルフトシュトロームはデビューから2勝はともに楽勝。GⅡの前走はさすがに楽ではありませんでしたが、外を回っての差し切りは見事でした。これでデビューから無敗の3連勝。能力的にも通用すると思いますが、問題は状態ですね。
昨年6月に本州(ノーザンFしがらき)に移動してきたのに、ここから堀厩舎に入厩するまで半年近くかかり、デビューは年明けになりました。1月の中山で新馬戦を勝ち、2戦目は東京を目標にしましたが、順調さを欠き中山に伸ばしています。
ニュージーランドトロフィーを勝った後も、疲れを取るため始動が少し遅れたようです。このように現状は体質が弱い馬。GⅠなので前走以上の仕上がりが望まれますが、そこまで状態を整えられるかですね」(競馬専門誌記者)
まだ底が見えていないルフトシュトロームだが、能力よりも、状態のほうに少々不安があるという。
こうなると関西のタイセイビジョン、サトノインプレッサに期待がかかるのだが。
「タイセイビジョンは、ここ4戦の重賞で2、1、2、1着と安定している。朝日杯でコテンパンにされたサリオスがいないから、鬼の居ぬ間にGⅠを勝ちたいところだね。
怖いのは折り合いかな。京成杯のときも返し馬から怖い感じだったが、そこは1400mだったし、うまくルメールが乗りこなした。その後、折り合い難解消のため厩舎も工夫し、それがマイルでも好結果に結びついている。ただ朝日杯フューチュリティステークス、アーリントンカップとマイルの2戦は、ともにレースが流れてくれたおかげで、折り合い難が出なかったともいえる。もしレシステンシアがチューリップ賞の時のように抑え気味になり、ペースが緩むと危険度は増す。
ならばサトノインプレッサのほうが安全か? こちらは3戦3勝だが、いずれも2着との差は少差だし、レースレベルもそれほど高くはない。また2戦が重馬場、1戦が稍重馬場と、時計の速い競馬を経験したことが無い。陣営は良馬場のほうが切れると話しているし、実際馬の走りを見ると、確かに良馬場のほうがいい気もする。東京は異常に速い時計が出る時もあるし、良馬場の経験が無いままGⅠというのは、やはり不安だね。スタートもうまくは無いので、多頭数も課題になる」(関西記者)
レシステンシアを追う3頭にも、それぞれ不安点がある。いずれも上位人気馬だけに、レースで不安を露呈すると波乱の可能性は高まる。
NHKマイルカップを振り返ると、過去8年で3連単の100万超えが1回、10万超えが5回ととにかく大荒れ。1番人気も、ここ3年は馬券に絡んでいない。因みに2番人気は、5年連続で馬券圏内を死守している。現状で2番人気馬を予測するのは難しいので、東西担当記者には波乱を想定して穴馬を挙げていただきたい。
「関東では、ウイングレイテストですね。
早くからファルコンステークス→ニュージーランドトロフィー→NHKマイルカップのローテーションを立てていて、レースへ向けての準備が万端。実際、ここ2戦を6着→3着と成績を上げています。
その前走は、中山マイルで不利な大外16番枠を引き、レースでも外を回らされ、更に4コーナーでは外に振られる不利がありながら、ルフトシュトロームから0.1秒差の3着に来ています。目標のNHKマイルカップで一発暴れてほしいですね」(競馬専門誌記者)
「関西からは2頭。まずはプリンスリターン。
アーリントンカップは先行馬に厳しいペースで先行し3着。先頭に立った後、ソラを使うところがあったようだから、本来はもっと際どい勝負になったと思う。今度はレシステンシアというはっきりした先行馬がいるから、気を抜くこともあるまい。チューリップ賞でレシステンシアを破ったマルターズディオサを手本にするような競馬をしてもらいたいね。
もう一頭はラインベック。
ここ2戦の結果ですっかり人気を落としたが、父ディープインパクト、母アパパネの良血と、友道厩舎、金子真人氏の最強コンビから、簡単に終わる馬じゃないよ。
ホープフルステークスでは4着だったが、あの時の5着オーソリティは青葉賞1着、11着のガロアクリークはスプリングステークス1着で皐月賞3着。コントレイルらクラシック候補が多数出ていたホープフルステークスに比べれば、NHKマイルCは相手が楽。この馬自身、マイル向きの匂いもするから、距離短縮で変身もあるかも」(関西記者)
荒れるNHKマイルカップ。今年の人気馬も不安材料が並んでおり、予想の姿勢は「穴馬探し」で臨みたい。
(栗東在住ライター:鷲崎)
栗東在住ライター:鷲崎
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