6月開催の無観客が発表された。予想されていたこととはいえ、あまりにも残念。それは今年の安田記念のメンバーが、凄すぎるから。
昨年マイルGⅠを2勝したインディチャンプ、GⅠ3勝のアドマイヤマーズ、桜花賞馬グランアレグリアに、キングリー、プレミアム、スマッシュのダノン勢などなど。
これだけでも凄いメンバーなのに、現役最強馬アーモンドアイの参戦も決定。去年の安田記念も豪華メンバーと書いた記憶があるのだが、それを超える「超豪華メンバー」となった。このレースをライヴで観戦できないことは、本当に残念である。
凄い顔ぶれではあるのだが、それでも存在感はアーモンドアイが抜けている。
前走のヴィクトリマイルは楽に勝つだろうと思いながら見ていたのだが、その予想を超えてくる大楽勝劇。GⅠを調教のような余裕で勝利し、時計はレコードと0.1秒差。どこまでも規格外の強さである。いくら今年の安田記念メンバーが豪華でも、アーモンドアイが負ける想像ができない。
ただ不安が全くないわけでは無い。
これまでのアーモンドアイは強いレースを見せてくれるが、見た目以上に一生懸命走っているため、レース直後はヘトヘトに見えることもあった。そのためか、これまでは間隔を開けて使うことが多く、一番詰めて使ったレースでも中5週である。しかし今回は中2週。こんなに詰めて使って大丈夫なのか?
「確かに3歳時は、レース後の反動が大きいイメージもありましたが、古馬になってからは、そこまでの反動は聞いてないですからね。特にヴィクトクリアマイルは、全力を出さない形での勝利。レース直後もケロッとしていたようですから、問題ないと思います。このレベルの馬ですから、少しでも心配があったら使わないでしょうしね。
適性の合わない有馬記念こそ崩れましたが、東京コースでの強さは歴代最強レベル。メンバーは前走から遥かに強化されていますが、そんな相手でも軽く捻じ伏せるのではないでしょうか」(競馬専門誌記者)
前走からの間隔だけが不安だったが、5歳になって心身ともに成長しているアーモンドアイなら大丈夫と見ていいのではないか。
となると、話は2着争いに絞っていいだろう。こちらは高いレベルで混戦である。
「今の充実ぶりを考えると、インディチャンプの上位は堅いだろうね。昨年はマイルのGⅠを2つ勝ったが、安田記念よりも、秋のマイルチャンピオンシップのほうが強かったから、昨年勝利時以上のレースを見せてくれると思うよ。
いつもならGⅠの前哨戦は負けるのだが、今年はマイラーズカップも大楽勝。安田記念へ向け、まだまだ余地を残しているから、更に上げてくるはずだ。アーモンドアイは強いけど、簡単には勝たせないよ。
上昇力なら、アドマイヤマーズも負けていない。
2歳GⅠを勝ったように早熟性が強く成長力に疑問を持っていたが、さすがは友道厩舎。しっかり秋になっても強さを増し、香港ではマイルGⅠを勝利。ノームコア、ペルシアンナイト、インデイチャンプら古馬のGⅠウイナーが3着に入れないようなレベルのレースを勝ったのだから、非常に内容は濃い。今年初戦だが、GⅠの仕上げが分かっている厩舎だから久々も大丈夫。前でも差しても競馬ができるのは強みだよ」(関西記者)
関西からは、複数のGⅠを勝っているインデイチャンプ、アドマイヤマーズの2頭の名が挙がってきた。
関東馬も、普段なら本命級の魅力ある馬が並んでいる。
「アーモンドアイがいなければ、本命候補の筆頭だったのがグランアレグリアですね。桜花賞の勝ちっぷり、時計を見てもらえば分かるように超A級の馬ですが、精神的なモロさもあり、朝日杯やNHKマイルカップのような結果になることもありました。しかし阪神カップでは揉まれても苦にすることなく、馬群から抜け出して5馬身差の圧勝。高松宮記念も、1200m、重馬場と苦しいレースで勝ち馬に迫る2着と、精神的な成長が見られます。スピード勝負になる今の東京は絶好で、ここは大チャンスです。
GⅠを勝ってませんが、ダノンキングリーも怖い一頭です。昨年はダービー2着と2400mでも走りましたが、実際は血統通りマイルあたりがいい馬。大阪杯を見ても、今は2000mでも少し長いイメージです。なのでマイルへの距離短縮はプラスです。東京は、共同通信杯で上り3F32.9秒の強烈な脚を繰り出し、毎日王冠は出遅れながらマイルGⅠ馬3頭を差し切りと大変身します。このメンバーでは実績こそ劣りますが、東京のマイルなら足りると思います」(競馬専門誌記者)
豪華メンバーだけあって、本命にしたいレベルの馬が並ぶ。それでも東京マイルなら、アーモンドアイの頭は堅いイメージ。
問題の2着争いも、インディチャンプが優勢だが、実績不足で人気が無いのならダノンキングリーも面白そうである。
前走は楽勝だが、さすがに今回はアーモンドアイも本気を出さねばなるまい。100%の力を出し切った時、どんなパフォーマンスを見せてくれるのか。そこも楽しみである。
栗東在住ライター:鷲崎
WASHIZAKI
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