秋のGⅠ、そして凱旋門賞へのステップレースとしても重要視されている札幌記念。近年はGⅠ級の馬が複数出走することも多く、GⅡの中でも特別に「スーパーGⅡ」とも呼ばれている。
トップクラスの出走が多いということは、実力差の大きいメンバー構成になりやすいとも言える。そうなると1番人気が強いイメージもあるのだが、実際には8年連続で1着を逃しており、この中にはゴールドシップ、モーリスのような大物も存在する。
今年、1番人気が予想されるラッキーライラックも、この傾向に飲まれてしまうのか?
「1週前のCWでも、長めから速い時計を出しており、やる気は見受けられる。GⅠを3つ勝っている馬なので、今更GⅡで勝負をかけるとは考えにくいのだが、札幌記念はGⅡでも1着賞金は7000万円と高額だし、秋の目標であろうエリザベス女王杯まで時間があるから、ここで勝負をかけても秋に疲れが残る可能性は低い。となると、信頼していいんじゃないかな」(関西担当記者)
話からは、久々に1番人気の馬が勝てる雰囲気も感じるが、なにせゴールドシップ、モーリス級の馬も負けているレース。ラッキーライラックといえど堅いとはいえない。それでは、この馬を倒せる候補は誰なのか。
「関西では、格的にマカヒキ、ペルシアンナイトの両GⅠ馬が上位となる。
ただ近走は、かつての走りが見られないからね。札幌記念はマカヒキが2年前に2着、ペルシアンナイトが昨年5着。かつての勢いがないだけに、これ以上の着順となると簡単では無い。
ならば好調な馬を探したほうがいい。
そこで挙げたいのが函館記念を勝ったアドマイヤジャスタ。
馬具(パシュファイヤー)をつけてから、集中して走れるようになったようで、函館記念は快勝。元はGⅠのホープフルステークスでサートゥルナーリアの2着に入ったほどだし、能力を出し切れれば重賞でも好勝負できる力は持っている。一時の大敗続きは理由がはっきりしているから、もう忘れたほうがいいよ」
人気薄の激走ゆえにフロック視され、再度人気が無いようなら、アドマイヤジャスタは面白そうである。
ここ5年で4勝している関東勢も、ここは力の入る一戦だ。
「やはり能力で上の存在はGⅠウイナーのノームコアですね。
前走の安田記念は4着ですが、アーモンドアイやインディチャンプに迫った脚は迫力がありました。昨年ヴィクトリアマイルを勝った頃に戻ったと見ていいでしょう。札幌は初めてですが、ハービンジャー産駒なので洋芝は合うと思います。
それから小回り向きと言えるのがトーセンスーリヤです。
新潟大賞典を勝っているので長い直線も大丈夫ですが、速い上りを出せない馬なので、直線の短いコースで早め進出し、しぶとく粘る形がいい馬。豪華メンバーの宝塚記念でも先行しての7着は、単勝150倍の立場を考えると善戦。相手が楽になった今回は、上位のチャンスです」(競馬専門誌記者)
前に行くトーセンスーリヤ、後ろから来るノームコア。ラッキーライラックにとっては嫌な相手である。
他では3歳馬のブラックホールが洋芝で3戦2勝、札幌2歳ステークスも勝っており気になるところだが。
「このレースは歴戦の古馬が集まるので、ハイレベルなレースのキャリアが少ない3歳馬には厳しいですね。実際過去10年で馬券になったのは、6年前に勝ったハープスターと、4年前3着のレインボーラインだけ。
ハープスターは桜花賞馬ですし、レインボーラインはNHKマイルカップ3着とGⅠ上位の実績がありました。ハイレベルなレースで上位の経験が無いブラックホールはさすがに厳しいかと思います」(データ解析班)
う~ん、打倒ラッキーライラックと言える馬がなかなか増えてこない。
「そもそも1番人気は8年連続で負けていますが、その間2、3着は6度ありますから、データからはラッキーライラックが馬券圏内をはずす可能性は相手関係からも低いと思われます」(データ班)
やはりラッキーライラックの馬券圏内は堅そうなイメージ。問題は頭を取れるのか。それとも近年の傾向通り1番人気は敗れるのか。となると、怖いのはノームコアか。GⅠでも上級のメンバーとなった安田記念の脚を見ると、唯一ラッキーライラックに対抗できる。
そうなると今年の大レース(GⅠ)の傾向通り、GⅠに近いスーパーGⅡの札幌記念も、牝馬の戦いとなるのかもしれない。
栗東在住ライター:鷲崎
WASHIZAKI
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