昨年のダービー馬キズナ、菊花賞馬エピファネイア、そしてＧⅠ3勝のメイショウマンボの3強が対決ということで名勝負が期待された大阪杯。結果は目論み通りとはいかず、キズナが勝ったものの、エピファネイアは3着、メイショウマンボは着外に終わった。

「キズナの叔父にはビワハヤヒデ、ナリタブライアン兄弟がいるが、どちらも3歳秋になって更に強くなった。キズナも昨秋は凱旋門賞で4着と好走。その後、どれだけ変わっているか楽しみにしていたが、確実に成長していた。昨春まではスラリとしたイメージだったが、ダービー時より20キロも増えた馬体はボリュームが増しパワーアップ。ヨーロッパ仕様へ変化し、あのエルコンドルパサーを思い起こさせた。これなら凱旋門賞は昨年以上に走れるんじゃないか。
　もちろん天皇賞も勝てる確率は高い。まだ余裕のある仕上げで次は更にパフォーマンスを上げてくるだろう」（専門紙記者）

　敗れたエピファネイア、メイショウマンボは、どこに原因があったのか。
「エピファネイアの場合は、昨春の頃に馬ができあがっており、もともと成長力でキズナに劣ると思われていた。その差がでてきたのかな。それにレースぶりも、菊花賞のように早めにスパートしたほうがいい。
　まあ今回は、香港まで間隔があまり無いから、それほど作っていなかったという面も敗因として大きかったと思うけど。

　メイショウマンボは体高が高くなったように思えたが、マイナス8キロの馬体減は物足りない。いつも以上にテンションが高く、返し馬もスムーズじゃなかったように、精神的にも走れる状況になかった。この一戦がガス抜きになればいいが」

　結局3強対決にはならなかったが、キズナが快勝したことで良かったという声も聞かれた。
「こんなことを言ったらエピファネイア陣営に悪いけど、キズナは天皇賞ヘ、エピファネイアは香港遠征と決まっている。日本の競馬のことを考えれば、天皇賞に出てくれる馬に勝ってもらったほうがいいからね。これで阪神大賞典を勝ったゴールドシップ、日経賞を勝ったウインバリアシオン、そして大阪杯のキズナと役者が揃った。もし大阪杯でキズナがエピファネイアに負けていたら、天皇賞は主役不在になる可能性もあった。やっぱり国内の競馬を優先する馬に勝ってほしい」

　これで天皇賞・春は3強の形ができた。これに昨年の覇者フェノーメノ、巻き返しを期すメイショウマンボが加わり、久々に天皇賞が盛り上がりそうである。

　大阪杯の陰に隠れてしまったが、ダービー卿ＣＴも安田記念へ向けて重要なレース。混戦模様で難解な一戦だったが、実力馬カレンブラックヒルが久々に勝利をおさめ、復活をアピールした。

「追い切りが動いたので、もしかしたら復活があるんじゃないかと期待していたが、その通りの結果になってくれた。ただ、これで『完全復活』となったわけではない。重い馬場で有力馬が苦しんでいたのもあるし、秋山騎手の好騎乗が大きかったというのもある。まだ次を見てからだね」（関東記者）

　カレンブラックヒル以外の人気勢は総じて大敗してしまった。
「コディーノはまたしても人気を裏切った。馬場が合わなかったこともあるが、成長力が無く、たとえ良馬場でも勝っていたかどうか。人気先行の馬なので、馬券には奨められないね。
　レッドアリオンやマウントシャスタも馬場に殺された組。きれいな馬場で巻き返しだな」

　3歳戦は、ダービートライアルでクラシックの最終切符を目指す馬が多数出走した山吹賞とアザレア賞が注目された。
「山吹賞はディープインパクト産駒のトーセンマタコイヤが1着。ディープ産駒が中山で不振だったので、この馬も苦戦を予想していたが、Ｂコースに変わってある程度走りやすくなっていたのは大きかった。

　もちろん馬の素質も高く、馬混みに入っても怯まないし、最後の斬れ脚も良く、着差以上の強さだった。体質の弱さが問題だが、ダービーに出したい器であることは間違いない。

　アザレア賞は血統馬が多く出走していたが、どれも期待外れ。ああなると、先行したダンディーズムーンには有利になる。ただ、この馬も勝つには勝ったが、ラチを頼る競馬で、展開に左右される面がある。また前の掻き込みが弱いので、坂コースで勝っているが、実際は平坦のほうがいいタイプに見える。

　負けた中ではオリハルコンがもったいなかった。前走は早めに攻めてロサギガンティアの2着。同じ競馬をすれば勝てたと思うが、いくらスタートで不利があったと言っても、消極的すぎた。

　モンドシャルナは距離延長がダメ。体もネオユニヴァース産駒らしいガッチリした面もでてきており、ダートのほうがいいかも。そのほうが、芝よりは折り合いを気にせず、少し前で競馬ができると思う」（専門誌記者）

　東西の500万特別は明暗。今年の3歳牡馬は関東勢が元気だが、その現状を表す結果となった。

（栗東在住ライター：鷲崎）