史上初となる無敗の三冠牝馬デアリングタクトの誕生となった秋華賞。この原稿を書いている時点でレースは終わっていないが、菊花賞は無敗の三冠を目指すコントレイルが出走。2週連続で3歳GⅠが盛り上がっているが、古馬も負けていられない。天皇賞・秋は、史上初となる芝のGⅠ8勝目がかかるアーモンドアイが話題の中心となる。
ヴィクトリアマイルを調教のような余裕で勝利し、7つ目の芝GⅠを制覇。安田記念で史上初となる芝8冠制覇の可能性は高いと見られていたが、グランアレグリアの前に2着と敗れてしまった。
改めて、8つ目のGⅠ勝ちに挑む天皇賞・秋。今度こそ記録達成の瞬間を見たいところだが。
「昨年終了時点で、東京コースで負けたのは、スタートで大きな不利があった安田記念(昨年3着)のみ。このレースにしても負けて強しの内容で、東京コースでは実質負け無しと考えていい馬。今年も東京ではヴィクトリアマイルを楽勝しました。それだけに、安田記念で不利も無く負けたことはショッキングでしたね。相手がグランアレグリアでは仕方ないとも言えますが。
それにアーモンドアイは、以前から反動が出やすいと言われています。なので間隔を開けて使うことが多かったのですが、安田記念は中3週。いくらヴィクトリアマイルが調教レベルの楽勝と言っても、そこはGⅠ。やはり反動もあったのかもしれません。
今回は、しっかり夏休みを取り、間隔を開けての一戦。昨年の天皇賞・秋も安田記念以来の一戦でしたが、ダノンプレミアム以下GⅠ馬9頭を相手に3馬身差の楽勝でした。状態面の不安点も無いですし、よほどな道悪にでならない限り、GⅠ8勝目は堅いのではないでしょうか」(関東担当記者)
GⅠ馬9頭を圧倒した昨年を考えると、GⅠ馬が6頭の今年は楽なような気もする。だが相手にはGⅠ3勝のフィエールマン、宝塚記念圧勝のクロノジェネシスがいる。もしかしたら昨年より相手は強いのではないか。
「フィエールマンはGⅠ3勝といっても、すべて3000m以上のレース。ノーザンFが適性を見込んで長距離GⅠを狙っているのでしょうから、2000mが合うとは思えません。クロノジェネシスも、勝ったGⅠが秋華賞と宝塚記念。ともに内回りコースで、両レースともに稍重馬場でした。直線が長く、上がりも速くなる東京は厳しいと思います」(関東担当記者)。
馬の能力もアーモンドアイが一枚上と思われるのに、距離、コース適性でも上となると、やはり8冠目は堅いのではないか。
となると、問題は2着争い。ここもクロノジェネシスで堅いという見方が強い。
「昨年のGⅠ戦線は、宝塚記念と有馬記念をリスグラシューが、天皇賞・秋をアーモンドアイが勝ち、牝馬の台頭が目立ちました。そして今年、牝馬優勢の傾向は更に強くなっています。
古馬の芝のGⅠ(牡牝混合)は、高松宮記念からスプリンターズSまで6戦あったのですが、うち5レースは牝馬が勝っています。高松宮記念のモズスーパーフレアは1着馬が降着という運はありましたが、以降の大阪杯・ラッキーライラック、安田記念・グランアレグリア、宝塚記念・クロノジェネシス、スプリンターズS・グランアレグリアは、文句なしの完勝でした。特に大阪杯と安田記念は牝馬のワンツーです。結局牡馬が勝ったのは天皇賞・春のフィエールマンのみ。このレースは牝馬が2勝クラスのメロディーレーンしか出ていませんでしたからね。
こうしてみても、現在のGⅠは断然牝馬優勢。となると、アーモンドアイとクロノジェネシスの牝馬2頭で堅いと思います。牝馬はもう一頭スカーレットカラーが登録していますが、もしかしたら3着に来るかもしれませんよ」(データ解析班)
1着アーモンドアイ、2着クロノジェネシスでは、ガチガチの堅い配当になってしまいそうだが、データ班はクロノジェネシスが頭の可能性もあるという。
「東京コースへの適性の差で、アーモンドアイの頭は堅い、クロノジェネシスは上がりの速い東京は向かないと見られていますが、果たしてそうでしょうか。クロノジェネシスは2歳時に、アイビーステークスを3F32.5秒の高速上りで勝っています。またクイーンカップでも、3F33.1秒の速い上りが時計をマークして勝利し、他場でも桜花賞3着時に上り32.9秒をマークしています。このように、上がりの速いレースにも対応できます。
そもそも今年の東京は、最初の1、2週の馬場が良くなかったため、時計はあまり出ていません。天皇賞週はBコースに変わりますが、劇的に時計が速くなるでしょうか? アーモンドアイはここ2年、秋の東京で桁外れの強さを見せていますが、どちらも時計の出る軽い馬場でした。果たして今年の馬場で、これまでのような強さを発揮できますか?
宝塚記念圧勝と、ますます成長を見せているクロノジェネシスが、アーモンドアイのGⅠ8勝目を阻止する可能性はありますよ」(データ班)
どうやら今年の秋も牝馬優勢。果たして、アーモンドアイが芝GⅠ8勝の歴史的偉業を成し遂げるのか。それとも、同じ牝馬のクロノジェネシス阻止するのか。
天皇賞・秋も、強い女の戦いに魅了されることになりそうだ。
栗東在住ライター:鷲崎
WASHIZAKI
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