今年のマイルチャンピオンシップはGⅠ馬が8頭出走。しかも全てがマイルGⅠ覇者というから、マイル王決定戦に相応しいメンバーと言える。
またGⅠウイナー以外にも、上半期に重賞3連勝したサウンドキアラ、マイルチャンピオンシップの前哨戦を勝ったカツジ(スワンステークス)、ヴァンドギャルド(富士ステークス)もおり、更に豪華さを増している。これだけ好メンバーが並ぶと、馬券を絞るのが大変だ。
「マイルチャンピオンシップはGⅠ馬が8頭ですが、春の安田記念は更に多い10頭のGⅠ馬が出ていました。ただ、2頭は1200mのGⅠウイナーなので、実質は安田記念もマイルチャンピオンシップも同レベルの豪華メンバーと言えます。
その安田記念は1~6着までの上位を、マイルGⅠ勝ちの経験馬が占めました。GⅠを勝っていないものの、GⅠ勝ちに匹敵する能力があると思われたダノンキングリーやダノンスマッシュは着外でした。
マイルチャンピオンシップには、安田記念の1~6着馬のうち4頭が出走してきましたし、サリオスをはじめ3歳のマイルGⅠ勝ち馬の顔ぶれを見ると、GⅠ勝ちの実績の無い馬が馬券圏内に来るのは、かなり難しいと思います」(データ解析班)
安田記念は、マイルGⅠ馬が上位を独占。そうなるとマイルチャンピオンシップも、GⅠ馬を中心に馬券を買ったほうが良さそうな雰囲気である。
ただ、それで絞っても8頭いる。ここから更に絞らなければいけない。そこでGⅠ馬のポイントを一頭ずつ見ていきたい。
「やはり中心はグランアレグリアでしょう。
3歳時は他馬に寄られると怯む面もあり、朝日杯フューチュリティステークスやNHKマイルカップなど人気に応えられないレースもありました。しかし昨年末の阪神カップでは、馬群から抜け出して楽勝し、精神的な成長が見られました。
その後の活躍は皆さん承知の通り。初めての1200mに道悪も加わった高松宮記念こそハナ差届かず敗れましたが、以降は安田記念、スプリンターズステークスとGⅠ2連勝。特に安田記念は、最強馬アーモンドアイと、昨年マイルGⅠ2勝のインディチャンプを圧倒したのですから、GⅠ馬の中でも力量は抜けています。阪神は桜花賞、阪神カップで特に強い競馬を見せたコース。どちらのレースも凄い時計で勝っていることから、時計の出る今の阪神の馬場も味方します。ちょっと負けるイメージが沸きませんね」(関東担当記者)
短いと思われるスプリンターズステークスでも勝ったとなると、ベストのマイルで負けることは考えにくい。やはりグランアレグリアで頭は堅いのか。
これに対し、実績で負けていないのが、昨年のマイル春秋GⅠを完全制覇したインディチャンプ、マイルのGⅠ3勝のアドマイヤマーズだ。
「インディチャンプは国内GⅠに限ると3戦2勝3着1回の好成績で、馬券圏内は堅いかなって思う。
ただ不安なのは、軽い筋肉痛でスプリンターズステークスを取りやめたこと。筋肉痛自体はもう問題ないようだが、この馬自身久々があまり走らないので、スプリンターズステークスを使えなかったことは痛いかな。
逆にアドマイヤマーズは、ドバイの中止でローテーションが狂った安田記念より、今回のほうがいい。最近は走ったり走らなったりと成績が不安定だが、マイルのGⅠに限定すると4戦3勝で、負けたのはドバイ後の安田記念のみ。つまり負けたGⅡ以下のレースは叩き台でしかないわけで、前走のスワンステークス3着は全く気にしなくていい」(関西担当記者)
アドマイヤマーズは実績上位組の中では馬券的妙味が高そうなので、そそられるところはある。
古馬のGⅠウイナーは、他にペルシアンナイト、ケイアイノーテックがいる。ペルシアンナイトはマイルチャンピオンシップで1、2、3着と3年連続好走。今年も怖い一頭だ。
「ケイアイノーテックは安田記念こそ5着ですが、その後のレース内容を見る限り、GⅠで更に上の着順は厳しい気がします。
それならマイルチャンピオンシップに強いペルシアンナイトのほうがいいと思います。
ただマイルチャンピオンシップに強いと言っても、毎年着順を一つずつ落としており、例年のマイルチャンピオンシップより強い今年は、更に着順を落とす可能性があります」(データ班)
ケイアイノーテック、ペルシアンナイトは相手関係から厳しそうなイメージ。となると、次に狙うは3歳馬だろう。
サリオス、ラウダシオン、レシステンシアの中では、毎日王冠で古馬を破ったサリオスが特に気なる。
「サリオスはマイルで3戦3勝。距離が微妙だったクラシックも、コントレイルがいなければ皐月賞、ダービーを勝っていたわけですから、とんでもなく強い馬です。それは毎日王冠でも証明されましたし、マイルになる今回は更に面白いです。ただ問題は、前走後に少し反動が出たこと。更に中間は軽い疝痛もありました。皐月賞前も、いろいろありながら2着に来たので大丈夫だとは思いますが、万全とまでは言えないかもしれません」(関東担当記者)
ではラウダシオン、レシステンシアはどうか。
「ラウダシオンは3歳になって急成長し、NHKマイルカップ勝ち。前哨戦の富士ステークスも好内容だった。1週前の追い切りでは好時計をマーク。調教をつけた武豊騎手も、体感以上に速い時計が出たって言ってたようだから、相当調子がいいのだろう。
レシステンシアはGⅠで1、2、2着。すべて同世代相手のもので、古馬GⅠ級が相手じゃ厳しいのは分かるが、斤量54キロは有利。ジャパンカップだって近年は3歳牝馬が有利だからね。今の阪神の馬場はスピード勝負だから、この馬の先行力は大きな武器になる」(関西記者)
3歳馬は、どれも買いたい馬ばかり。サリオスも状態に少々不安はあるものの、能力を考えれば捨てきれない。
そろそろまとめよう。A級馬が揃ったが、ちょこちょこ不安点がある馬もいる。そんな中にあって実力、実績ともに兼ね備え、大きな不安点も見当たらないグランアレグリアが、軸として最も信頼感がある。
2番手は、実績的にはインディチャンプだが、スプリンターズステークスを回避した影響がどこまで響くか。
ならばGⅠで一気に調子を上げてくるアドマイヤマーズのほうが馬券的には面白い。そして3歳では、能力的にサリオスがリード。唯一グランアレグリアを超える可能性があるとしたら、この馬だろう。しかし状態面に少々不安があるというので、こちらも馬券的にラウダシオン、レシステンシアがお薦めになる。
グランアレグリアを中心に、相手はアドマイヤマーズと3歳勢。恐らくグランアレグリアが断然人気になるので、一発狙うならサリオスを頭で買うのもアリだろう。
これだけのメンバーが揃ったのだから、大波乱の可能性は低く、馬券は絞って勝負に出たほうが得策だ。
栗東在住ライター:鷲崎
WASHIZAKI
熟練競馬ライター達がとある事情で新聞・テレビなど一般メディアでは取り上げられない業界の「アウトな裏話」を会員様限定でこっそりと公開!