興奮のジャパンカップが終わっても、今年の競馬が終わったわけではなく、楽しみなレースはまだまだ残されている。ダートの頂上決戦となるチャンピオンズカップもその一つだ。
今秋のGⅠは、抜けた存在の主役が強い競馬を見せるシーンが多かったが、ダートにも飛び抜けた大物が存在する。
それがクリソベリルである。
海外のサウジカップこそ崩れたが、国内では8戦無敗。昨年のチャンピオンズカップも勝ち、サウジカップ以降の帝王賞、JBCクラシックも強い内容で連勝している。
「デビュー当初から圧勝続きで、最近2戦もダートのトップクラスを相手に力差を見せつける勝ちっぷり。もはや怪物級と捉えたほうがいいだろう。前走のJBCクラシックもメイチ勝負というわけでなく、後に控えるチャンピオンズカップも考慮していたはず。それでも楽勝だからね。昨年のチャンピオンズカップはクビ差勝ちだが、この頃は陣営も『まだ未完成』と言っていた時期。ある程度完成された今年は、もっと楽に勝てるんじゃないかな」(関西担当記者)
そのクリソベリルと昨年のチャンピオンズカップでクビ差だったのがゴールドドリームだ。
3年前の覇者でもあり、クリソベリル台頭前はダートのトップだった馬。得意のレースで昨年の雪辱を図りたいところだが。
「一昨年のチャンピオンズカップを勝って以降、昨年のチャンピオンズカップまで10戦してGⅠを4勝、2着5回、3着1回と堅実だった。それが昨年末の東京大賞典以降は、4、6、3、6着。馬券圏内に入ったのはGⅢの平安ステークスだけですからね。年が明ければ8歳。さすがに衰えは隠せません。
それなら、まだ昨年3着のインティのほうがマシじゃないでしょうか。
こちらも近2戦が14、9着と不調ですが、昨年のチャンピオンズカップも、その前の2戦が6、15着だったので、まだ巻き返す可能性があります。中京は3戦2勝で3着1回。東海ステークスを楽勝し、チャンピオンズカップ3着の実績から、近2戦よりコースは合うと思います」(データ解析班)
一時代を築いたゴールドドリームだが年齢的に厳しく、ならばインティということだが、こちらもレースに行ってみないと分からないところがある。
それなら、今年に入ってダートで一変したモズアスコットのほうが可能性はあるかもしれない。
初ダートで根岸ステークスを勝つと、続くフェブラリーステークスも勝利。クリソベリル不在のうちに、ダート界の頂上に伸し上がる勢いを見せた。
「ただ、フェブラリーステークス以降がもう一つだね。芝短距離の高松宮記念はともかく、かしわ記念が6着、59キロとは言え武蔵野ステークス6着も、フェブラリーステークスを勝ったコースを考えると物足りない。
ただ今回は引退レース。となれば思い切り仕上げてくると思うので巻き返しはあるかも。まあ距離を考えると、さすがにクリソベリルに勝てるとは思えないが…」(関西担当記者)
モズアスコットも厳しいとなると、可能性は3歳のあの馬しかいない。デビューから5戦4勝のカフェファラオだ。
ユニコーンステークスまでの3戦は怪物級のレースで3連勝。ただジャパンダートダービーの大敗は少々気になるところだ。
「ジャパンダートダービーは、レース後にレーン騎手が、『タイヤの跡に反応して逆手前でコーナーに入り、バランスを崩した』と話していましたし、圧勝したユニコーンステークスから間隔が短く、反動もあったかと思います。
前走のシリウスステークスを完勝したようにデキは戻っていますし、鞍上のルメール騎手もGⅠを狙えると強気なコメントも残していました。それに3歳馬は現在2連勝中。ジャパンカップダートから中京のチャンピオンズカップに変わって以降、3歳馬は11頭出走して2勝2着1回。この数字だと物足りないですが、これには勝負になりそうにない人気薄の3歳馬も含まれます。そこで上位3番人気以内の3歳馬に絞ると、4戦2勝、2着1回。ここ2年の勝ち馬ルヴァンスレーヴは1番人気、クリソベリルは2番人気です。恐らくカフェファラオも上位人気でしょうから十分勝ち負けになりますし、3歳2連勝の傾向から、クリソベリルを倒しても不思議ありません」(データ班)
チャンピオンズカップには、他にも交流GⅠ2勝のチュウワウィザード、ここ2年の南部杯の勝ち馬アルクトス、サンライズノヴァ、芝のホープフルステークス勝ちのタイムフライヤーとGⅠウイナーが出走を予定している。こちらに気になる馬はいないのか。
「南部杯勝ち馬の2頭、そしてタイムフライヤーは、チャンピオンズカップよりフェブラリーステークスで狙いたいタイプですね。ここはチュウワウィザードのほうがいいでしょう。ただクリソベリルには3戦3敗。堅実なので、2、3着はあるかもしれませんが、頭は難しいのでは」(データ班)
古馬GⅠ組に、クリソベリル打倒は難しそうである。
情報をまとめると、やはりクリソベリルの頭は堅く、この馬を倒す可能性があるとしたら3歳馬のカフェファラオ。他は、チュウワウィザードが2、3着候補で優勢といったところだ。
今秋のGⅠは1番人気馬と、ルメール騎手が圧倒的に強い。
となるとチャンピオンズカップも、1番人気のクリソベリルと、ルメール騎手騎乗のカフェファラオで堅い。問題は頭がどちらか? どうやらジャパンカップに続き、ダートでも大興奮の頂上争いを見せてもらえそうだ。
栗東在住ライター:鷲崎
WASHIZAKI
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