昨年は、ソダシによる史上初の白毛のGⅠ馬誕生で盛り上がった阪神JF。今年は昨年のような派手な話題こそ無いものの、来年へ向け楽しみなメンバーが揃い、ニューヒロイン誕生の予感もある。
ただ馬券的には牝馬同士の一戦、しかも心身ともに若い2歳馬の戦いとなると、波乱の傾向が強いと思うのだが。
「9年前には3連単300万超えの夢馬券が飛び出したこともありますが、ここ5年は万券に届かない4桁配当が3回。2年前に8万馬券が出ましたが、昨年は1万円台ですから、近年は大人しいですね」(データ班)
最近の傾向を考えると、まずは人気上位候補から探ったほうが良さそうである。そこで人気馬のお奨めを聞いてみたい。
「やはり阪神JFと同じマイルで結果を出した馬が一番信頼できる。まずはアルテミスSの勝ち馬サークルオブライフだね。初戦はイクイノックス(東スポ杯快勝)の3着に敗れたが、そこは国枝厩舎の馬。アパパネ、アーモンドアイ、最近だとアカイトリノムスメなど、国枝厩舎の馬は2戦目に激変した馬こそが本物なので、初戦負けは気にしなくていい。この馬も2戦目の未勝利戦は、デビュー戦とは一変の強さで快勝。そして前走のアルテミスSは、前につけたベルクレスタ、シゲルイワイザケをあっさり交わして1着。前有利の展開を、後方から外をまわって差し切った内容は、着差(クビ差)以上の強さだった。末脚を生かせる阪神マイルなら、前走同様能力を発揮できるよ」(情報担当)
情報班は、同じ東京マイルのサウジアラビアロイヤルC2着馬ステルナティーアも挙げてきた。
「牡馬混合のサウジアラビアロイヤルCに出走したのが、牝馬のステルナティーア。同レースには、ノーザンFが『来年のダービー候補』と期待するコマンドラインが出走していたが、そんな大物を相手に半馬身差まで詰めてみせた。ここ2戦騎乗した福永騎手が香港遠征で不在のため、ルメール騎手に乗り替わり。このあたりにも、ノーザンFの期待の高さが見える」
早くから「ノーザンFの牡馬ナンバー1」の評判もあったコマンドラインを相手に、半馬身差のステルナティーア。牝馬同士の一戦とあれば、評価を更に上げる必要はあるだろう。因みに、「ルメール騎手は、過去10年で4戦2勝、2着1回。連対率75%」(データ班)の数字も後押しする。
3戦無敗で、ファンタジーSも勝ったウォーターナビレラも上位人気候補だろう。
「この馬も有力です。サフラン賞勝ち馬はマルターズディオサ、サトノレイナスと2年連続で阪神JFは2着に来ていますからね。その2頭はサフラン賞から阪神JFへ直行。ウォーターナビレラの場合は、間にファンタジーSを挟んでいますが、そこも1着。ファンタジーS勝ち馬は過去10年で7頭出走し、2勝、2着1回で、連対率42.9%と高いから大丈夫です」(データ班)
レース解析班もウォーターナビレラはプッシュだ。
「重賞のファンタジーSよりも、1勝クラスのサフラン賞を評価したいですね。2番手から抜け出し、最後の2F11.0-11.3秒の高速ラップ。この上りがあれば、外回りの阪神でも行けそうです。そのサフラン賞は3着シゲルイワイザケがアルテミスSで3着、4着リアグラシアが牡馬相手のベゴニア賞でクビ差2着と、なかなかの好メンバー。そこで快勝は高く評価できます」
新種牡馬シルバーステートに、早くも『GⅠ勝ち』の便りが届くのか。ウォーターナビレラには、その可能性がある。
レース解析班からは、2戦2勝のナミュールも挙がった。
「新馬戦はいくら超スローペースでも、2番手から抜け出して上り2F10.8-10.7秒は出色。この時計の価値を証明したのが前走の赤松賞。逃げ切り態勢に入っていたパーソナルハイを差し切り、上り3Fは33.0秒。上り勝負になれば、阪神JFもこの馬の出番です」
鞍上にCデムーロ騎手が決まり、ますます不気味さが増している。
ここまで挙がったのは上位人気候補。これだけの馬が挙がったら、今年の阪神JFも穴馬の台頭は無理か?
「穴で面白い馬もいるよ。こちらが紹介するのはパーソナルハイ。今年の赤松賞は勝ち馬のナミュールを筆頭に、重賞のアルテミスSに負けていなかったと思う。その赤松賞で逃げてアワヤのシーンをつくったのが、この馬。最後はナミュールに捕まったが、3着スターズオンアース、4着モカフラワーも素質馬で、この2頭に決定的な差をつけたのは評価できる。レース終了後、1勝クラスの身で早々GⅠ挑戦を決めたところを見ると、矢作調教師の評価も高いのだろう。何とか抽選を潜り抜けてほしい」(情報班)
データ班も、パーソナルハイは気になるという。
「ディープインパクト産駒は、過去10年で17戦3勝、2着2回、3着2回で複勝率が41.2%あります」
抽選を通ったら、注目していただきたい。
ところで函館2歳Sを勝ったナムラリコリス、小倉2歳Sを勝ったナムラクレアのナムラ勢の名が出てこないが。
「どちらも距離が問題。ナムラリコリスは3戦全て1200mで、いきなり2Fの距離延長がGⅠではきつい。ナムラクレアも、マイルの新馬戦で3着に敗れ、距離短縮後に成績を上げています」(レース解析班)
なかなか穴馬も出てこないので、そろそろ結論を出したい。
評価が高いのは、マイルで好内容のサークルオブライフ、ステルナティーア、ウォーターナビレラ、ナミュールの4頭。この4頭を更に絞ると、牡馬クラシック候補と好勝負し、且つ阪神JFで好成績のルメール騎手が騎乗するステルナティーアが一歩リードと見たい。この馬を中心に、先に挙がった人気候補の3頭、そして穴馬候補で挙がったパーソナルハイを相手に考えたい。
栗東在住ライター:鷲崎
WASHIZAKI
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