当然のように圧倒的な人気になったオークスのハープスター。ダービーに出ても勝てるといった見方も多いうえに、ライバルのレッドリヴェールがいないのでは、勝つのが当たり前。競馬場はそんな雰囲気だった。
しかし競馬は分からない。直線、いつものように大外から伸びてきたものの、ヌーヴォレコルトに及ばず2着に終わった。
「なかなかハミを取らず、やっと掛かってエンジン点火となると思ったら、意外に弾けなかった。レース前に『負けるなら距離』と陣営が話していたが、それもあったのかもしれない。ただ馬体がフックラしていた前走に比べると、今回は少々寂しく見えたし、桜花賞が厳しい競馬になったのでピークが過ぎていたのかもしれない。まあ負けたけど、それでもレースでは一番強い競馬だったと思うが」(専門紙記者)
この敗戦で凱旋門賞挑戦は白紙になると思われたが、現状では予定通りのようだ。
「これまでは能力差のある馬と競馬をしていたことで、大外一気の競馬で勝てた。ただ凱旋門賞はそんな競馬では勝てない。ここまで揉まれた競馬を阪神JFしか経験しておらず、そこも負けている。確かに3歳牝馬は斤量で有利だが、この馬の場合はもっと経験を積んで、来年挑戦でもいいような気がするのだが」
次走は札幌記念のようだが、同厩の先輩ブエナビスタは凱旋門賞挑戦をぶち上げながら札幌記念で2着に敗れ、フランス遠征は取りやめている。果たして今回はどうなるのか。札幌記念が注目である。
そして勝ったヌーヴォレコルトは、対ハープスター3戦目で勝利。チューリップ賞、桜花賞と敗れたものの着差は確実に詰め、オークスで逆転した。
「ハーツクライ産駒で、距離が延びたのも良かったし、1週前に3歳牝馬としては異例の猛調教をして勝負に出てきた斎藤誠厩舎の執念も見事。この仕上げに耐えた馬も素晴らしかった。もちろん岩田騎手の好騎乗も光った」
その岩田騎手だが、1か月前の東京開催で後藤騎手を落馬させている。以前に後藤騎手が大怪我をさせられたときの相手も岩田騎手ということもあり、ファンからはかなり厳しい声が上がっていた。騎乗停止が明けた先週もパドックでは罵声を浴びせられ、強心臓で鳴る岩田騎手も、さすがに後藤騎手の身を案じ、ファンの気持ちも察しておとなしくなっていた。
「ハープスターが勝つことを見込んで来ていたファンにとってはまさかの結末だったうえに、勝利ジョッキーの岩田が暗いから、場内もどこかシラケ気味なところがあった。栄えあるGⅠレースで、こんなムードになってしまうとは」
今週は競馬の祭典ダービー。レースがどんな決着になろうとも、明るく締めたいものである。
(美浦ライター:高木)
栗東在住ライター:鷲崎
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