開催変わりの開幕週は、新馬戦に評判馬が揃って出走してくるケースが多いのだが、先週の新馬は、その評判期待馬が続々勝ち上がった。2歳戦に詳しい専門誌記者に話を聞く。
「中京のマイルで勝ったペガサスボスは、デビュー前から矢作厩舎の一番馬と評されていた馬。周辺の関係者の間でも『ペーパー(POG)で取ったほうがいい』なんて話も出ていたが、その通りの内容だった。
仕上がりは将来を考えて余裕を持ったもので、初戦からという感じは無かった。道中はスローペースでも慌てず馬に合わせた走りで、『これで届くのか』と思いながら見ていたが、直線ではしっかり差し切り。まだまだ変わり身が見込める状態で、これだけ走れば十分だね。矢作厩舎の一番馬に偽りなしだ。
また2着のシングウィズジョイも、道中モタモタしたシーンがありながら最後の伸びは目を引いた。母は重賞でも活躍したシングライクバードで、祖母は5連勝したシングライクトーク、曾祖母は重賞勝ち馬でクラシックでも好戦したフリートークと、牝馬の活躍馬が縦のラインに並ぶ良血。牝馬のこの馬も高い活躍を見込んでいい」
同日の牝馬限定戦では、ストロングリターン、レッドオーヴァルの半妹コートシャルマンが登場。断然人気に応え、直線で差し切って見せた。
「上同様エンジンのかかりが遅いが、ゴール前のキレ味はやはり血統通り。桜花賞路線に乗っかってくるだろう」
中京もいいが、福島も負けていない。例年活躍馬を出す福島の1800m新馬は、今年も魅力のある馬が出走し、しっかり1、2着した。
「勝ったフォワードカフェは美浦でも目立った動きを見せていたが、レースも2番手につけて直線も余裕をもって楽勝。兄のモズ、クインズハリジャンは2歳重賞で活躍しており、この馬も2歳重賞で勝ち負けできそうだ。大型馬だがまとまった馬体で、気配も上々。雄大なフォームは、活躍した兄以上に可能性を感じさせ、先々まで追いかけたい。
敗れたタンタアレグリアは、フォワードカフェと対照的に、細めでスッキリした馬体。ただ調教は軽く、国枝厩舎らしい仕上がりで、ここは結果より内容を重視して見ていた。スタートダッシュがつかず、鞍上が必至に追っているシーンを見て、今日は駄目だろうと思っていたが、外をまわって徐々に進出。早くから脚を使いながら、加速ラップの中2着に詰めてきた。スタミナもありそうで、勝ち馬に負けない魅力を感じる」
終いのラップが優秀だったレースで、評判2頭が1、2着。今年の福島の芝1800戦も当たりのようだ。
開幕2場ばかりが目立ったが、今年の函館で初めての芝1800m戦となった新馬戦も、期待馬サウスキャロライナがデビューし、しっかり勝利をモノにした。
「調教では、評判馬カービングパス(コディーノの半妹)と併せ互角の動き。この馬も、もともと評判は良かったが、これで更に期待が高まった。
返し馬で気の悪いところを見せ、それを考慮して鞍上は逃げる形を取ったが、レースでは安定していた。直線も余裕をもっての勝利で、小柄でもまだまだ成長の余地を残しており、先々まで楽しめる。後にデビューするカービングパスと高いレベルで争ってほしい」
とこちらも評価は上々。新馬以外でも、土曜日の福島の未勝利戦では、ロジチャリスが楽勝。まだまだ遠いクラシックだが、期待馬は早くも動き出しており、2歳戦も目が離せない」
(栗東在住ライター:鷲崎)
栗東在住ライター:鷲崎
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