主役不在が続く短距離路線。その影響か、昨年のスプリンターズステークスは、3連単46万円台の大波乱、高松宮記念に至っては今年が66万円台、昨年は278万円台のミリオン馬券も飛び出している。この流れを考えると、今年も超万馬券が飛び出すのか?
「スプリンターズステークス自体は、上位人気が強いんですけどね。中山で行われた最近10年(新潟開催の2014年を除く2012年以降を対象。その他のデータも同じ)を見ると、1番人気は5勝、2、3着が1回ずつで複勝率は70%、2番人気も連対率50%、3番人気は連対率40%と、上位人気は好成績です。
ただ、近年の短距離戦線の顔ぶれを見ると、このデータが信用できるかってところはありますね。グランアレグリア、ダノンスマッシュといった短距離の主役が引退して以降、短距離戦線は波乱傾向が強くなっています。最近2年の短距離GⅠ(高松宮記念、スプリンターズステークス)の勝ち馬を見ても、高松宮記念が8、12番人気、スプリンターズステークスは一昨年のピクシーナイトこそ3番人気ですが、昨年のジャンダルムは8番人気ですから、4回中3回は8番人気以下の馬が勝っていることになります。今年のスプリンターズステークスも抜けた馬はいませんから、波乱の余地はあります」(データ班)
ならば推奨馬は、思い切って穴馬を挙げてもらえると嬉しいのだが。
「そう言われても、みんなが挙げないような馬が勝つから波乱になるわけで、イチオシで挙げる馬は普通に上位人気候補になっちゃうよ。特に近走の成績を見ると、ナムラクレアが一番安心できる。
今年に入ってシルクロードステークス、キーンランドカップと重賞2勝で、高松宮記念は2着。馬券圏内を外したのは距離が長かったヴィクトリアマイルだけだからね。
前哨戦から勝ち切ったけど、もともと目標はスプリンターズステークスだから、当然本番へ余力は残している。展開や馬場に左右されない強味があるし、馬券圏内は堅そう」(情報担当)
データ班は少々ネガティヴな意見だ。
「キーンランドカップを叩いてきた馬は、全体的にスプリンターズステークスの成績が良くないんですよね。勝ち馬も、中山開催の過去10年で8頭出走し、3着が2頭のみ(複勝率25%)。良くて3着ですかね」
そのデータ班が推すのはセントウルステークス上位組だ。
「セントウルステークスからスプリンターズステークスのローテーションは、1着馬が2勝、2着3頭で連対率50%。2着馬は3勝、2着1頭で連対率40%と、セントウルステークスの上位2頭は本番でも好成績を挙げています。今年はテイエムスパーダ、アグリが該当します。
特にアグリは、所属の安田隆厩舎がスプリンターズステークスでの複勝率が45.5%(中山開催の過去10年)ありますから、こちらがお薦めですね」
レース解析班も、2着アグリを推す。
「重賞2連勝がともに逃げ切りのジャスパークローネ、セントウルステークスを逃げ切ったテイエムスパーダはともに逃げを主張するでしょう。葵ステークスをロケットスタートで逃げ切ったモズメイメイも、前走は逃げずに大敗したので今回は積極的に可能性がある。そうなるとハイペース必至で、狙いは差し馬。そこでアグリです。
前走は中団で脚を溜め、大外から伸びて2着に入線。上がり3F32.4秒も優秀だし、テイエムスパーダが逃げ切ったようなレースで、差して2着の結果も高く評価できます。高松宮記念で3番人気に推されたように元々評価の高い馬ですが、当時は1200mに実績が無く結果は7着。1200mに慣れた今回は、高松宮記念とは違います」
2人の推しが重なったアグリは、軸候補の筆頭格。ただ人気は恐らく上位。近年の短距離GⅠの波乱傾向を考えると、やはり人気薄が欲しい。
≫ 続きはログイン内で
栗東在住ライター:鷲崎
WASHIZAKI
熟練競馬ライター達がとある事情で新聞・テレビなど一般メディアでは取り上げられない業界の「アウトな裏話」を会員様限定でこっそりと公開!