今世代の新種牡馬で目玉と言われたのがハービンジャー。社台グループが大きな期待をかけて輸入したわけだが、日本の馬場への適性が合うのか疑問の声があったのも事実。そうした中で初産駒が今年デビューしたのだが、ここまで2頭が勝ち上がり、まずまずのスタートを切っている。ただ勝ったのはともに洋芝の北海道。高速馬場でどうなるか、その不安点はまだ消えていない。
とりあえずは、適性があると思われる北海道で結果を残さなければ話にならない。その札幌で、ハービンジャー産駒の中でも特に期待の高い馬が2頭デビューを果たす。
「実は、8月10日札幌の牝馬限定芝1500m戦は、特に注目度が高かったんだよ。そこにはハービンジャー産駒の評判良血馬が3頭集結する予定だったんだ。1頭がコディーノの半妹カービングパス、もう1頭は母が桜花賞馬ダンスインザムードで、半姉が重賞勝ち馬ダンスファンタジアというフローレスダンサー、そして母がダイワスカーレットのダイワミランダ。これは見たかったな」
とは2歳戦に詳しい雑誌記者。「見たかった」というのは、この夢の対決?が崩れてしまったからだ。
「フローレスダンサーは距離適性を考えて土曜日の芝1800m戦へ。ダイワミランダは外傷を負って放牧に出されてしまった。因みにこのレースには、ハービンジャー産駒以外にも、ダイワメジャー産駒で半兄にフレールジャック、マーティンボロがいる良血ベルティーヴァという馬も出走予定だったが、残念ながら故障。結局、予定通り出走しそうなのはカービングパスだけになってしまった」
こうなるとカービングパスの独壇場となりそうだが、現状はどうなのか。
「函館にいた頃は、新馬勝ちしたサウスキャロライナと同レベルの動きをしており、評判通り走りそうだなってイメージがあった。でも函館から札幌に持ってきたら、輸送のせいか体が寂しく見えた。今は持ち直したようだが、調教は函館にいた頃に比べると迫力が無く、1週前もダートで軽くやったきり。札幌は芝とダートしか調教ができないのでやりにくいのは分かるが、この仕上げで果たして勝てるのか?」
最終調教の内容は良く見ておきたいところだ。
もう1頭のハービンジャー産駒フローレンダンサーのほうは、なかなか仕上がりは良さそうだという。
「松田博厩舎は、フローレスダンサー、アドマイヤガスト、ワールドリースターと3頭の評判馬を札幌に入れ、すでに先週アドマイヤガストが新馬を勝った。この3頭では、調教からはワールドリースターが一歩落ちるが、フローレスダンサーはアドマイヤガストと遜色ない調教をこなしている。
牝馬に強い松田博厩舎だけど、今年一番派手な血統の牝馬はこの馬。これは走ってくると思うよ」
仕上がり具合ではフローレスダンサーのほうがいいが、なにせカービングパスのほうは新馬に強い血統。それほどやらなくてもレースで一変する可能性もある。
未だ評価定まらぬハービンジャー産駒だが、まずは洋芝の北海道で結果を出すことが先決。評判2頭のレースは、今後のハービンジャー産駒を占う意味でも重要である。
(美浦ライター:高木)
栗東在住ライター:鷲崎
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