後に桜花賞を勝つハープスター、皐月賞を勝つイスラボニータが昨年ワンツーしたため、やたら期待が高まってしまった新潟2歳S。それ以前はクラシックに直結するようなレースで無かったため、昨年はたまたまだろうと思っていたのだが、嬉しい事に今年もクラシックに繋がるレースとなったようだ。
関係者の間で評価を更に高めたのは、勝ったミュゼスルタンよりも、2着のアヴニールマルシェのほうだ。
「調教本数こそ出していたものの、速い時計は不足していたし、レース前はイライラするところも見え、万全とは言い難い状態に見えた。レースも後方から進め、直線では前とかなりの差。一時は掲示板に載るのが精一杯と思われたが、そこから33秒0の脚で猛襲。最後はハナ差届かなかったけど、レコード決着を考えるとよく届いたものだ。距離延長も大丈夫だし、現状では最もクラシックに近い位置にいる馬じゃないかな」(専門誌記者)
もちろん勝ったミュゼスルタンも高評価だ。
「毛づやも良く、シャープな馬体で、こちらは仕上がりの良さが目に付いた。直線はごちゃつくところもあったが、スルスルと通り抜けて、あっという間に先頭。初戦もそうだが、このあたりのセンスが抜群だ。アヴニールマルシェに比べて距離延長が微妙なので、クラシック云々は中距離戦を使ってみないと分からないが、能力は間違いなく高い」
このように2頭ともに、評価はかなり高く、昨年のハープスター、イスラボニータまで行くとなると簡単ではないが、この後も重賞戦線で活躍することは約束していい。ただミュゼスルタンは残念なことにレース後、骨折が判明。程度は軽いので、来春には復帰できる模様だ。
そして3着ニシノラッシュも一気に評価を上げた一頭だ。
「デビュー戦は圧勝だったが、福島の1200m戦だし父がサクラバクシンオーで、新潟マイルへの対応が厳しいと見られたか人気は低かった。でも一旦は先頭に立ち、最後も上位2頭からコンマ2秒差の3着なら大健闘。京王杯あたりに出てきたら勝ち負け必至だろう」
ニシノラッシュは、1400~マイル戦で狙ってみたい。
札幌では、1200mのキーンランドCが行われ、GⅠホースのローブティサージュが久々に勝利を得た。
「もともと折り合いの難しいところのあった馬だから、1200mは合っているんじゃないかな。父(ウォーエンブレム)の産駒は、最終的に短距離で活躍ってパターンはこれまでもあったし。ただ先に向けて楽しみなのは、2着のレッドオーヴァルのほう。カレンチャン、ロードカナロアなど短距離の大物を育ててきた安田厩舎らしく、しっかり1200mに対応できる馬につくってきた。本番(スプリンターズS)も有力だと思う」(関西専門紙記者)
条件戦では2頭、目立った馬がいたので触れておきたい。まずは日曜新潟の6レースを勝ったキュリオスティー。
「キュリオスティーは、よくここまで変わったものだ。もともと屈指の評判馬だったが、体質、気性ともに問題があって未勝利戦でも大敗続き。これでは未勝利で終わるだろうと見ていたが、体質が強化し、チークピーシーズをつけるなどしてレースぶりが一変。前走も未勝利戦を10番人気で勝つと、今回も素晴らしい末脚で差し切った。時計も速いし、完全に本格化した。秋華賞を目指すと思われるが、出られれば面白いところがあるんじゃないか」(雑誌記者)
もう一頭は、日曜日小倉9レースを勝ったコルサーレ。
「勝ち味に遅い馬だったが、今回は早めに先行集団に並びかけ、直線は余裕をもって抜け出し。これまでは、こんなスムーズなレース運びなんてできなかったから、使いながら馬が変わってきたのだろう。このあたりはハーツクライ産駒らしいところだ。次は兵庫特別を使うようだが、昨年はバンデがここを勝ち、菊花賞3着に繋げている。コルサーレがそこを勝てば、この馬も菊花賞ではダークホースになるんじゃないか。長距離は合うタイプだからな」
この時期は3歳馬が劇的に成長する時期。サトノアラジンはその代表だが、キュリオスティーやコルサーレは地味な分、上へ行って人気になるタイプではないので、馬券的にはこちらを追ったほうがプラスは大きくなりそうだ。
(美浦ライター:高木)
栗東在住ライター:鷲崎
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