今年の2歳馬で最も注目度が高かったのは断然アッシュゴールドだ。全兄がオルフェーヴル、ドリームジャーニーという血統背景はもちろん、1歳時から飛び抜けた評判で、吉田照哉氏、岡田繁幸氏といった競馬界を代表する大物生産者がお墨付きを与えるほど。流行りのPOGでも一番人気になり、ドラフトではこの馬の取り合いになったところも少なくあるまい。
しかし、いざ栗東の池江厩舎に入ると、周囲の評価は急降下。「1歳時から成長が見られない」、「調教の動きが平凡」など不安説が続出。デビュー戦も何ら見せ場もないまま大敗に終わった。
その後は山元トレセンで調整され、この秋に再入厩。兄オルフェーヴルが3冠馬に輝いた菊花賞と同じ日の未勝利戦で復帰となった。
新聞の印を見ると半信半疑といった感で、◎よりも▲が多かったが、それでも単勝オッズは1番人気。やはりファンの期待は高いままだった。
そしてレース。スタートしてすぐに後方に下がり、3コーナーまでは動かず。この日の京都は菊花賞で大レコードが出たほどの馬場で、内回りのマイル戦で後方という状況に、デビュー戦の悪夢が蘇る。しかし違ったのは直線。大外から一気に伸びると、立木を交わすかの勢いで前方馬群を飲み込み、あっという間の差し切り劇を演じた。
期待の良血馬がようやく目覚めた。これでクラシックに向けて視界良好。となればいいのだが、実際のところはどうなのだろう。
「この日の馬場で大外からの差し切りだし、加速ラップということから高い評価をしてもいいのかもしれない。ただメンバーはかなり弱いし、時計も前日の新馬戦より遅いなど、恵まれた面があったのも事実。凄く斬れたように見えた脚も、バテた馬を交わしているときは、そう見えるしね。
馬体も増えたし、調教内容も良かったことから、変わってきたのは間違いない。ただ、この一戦でクラシック候補とは言えない。オルフェーヴルもドリームジャーニーもキャリアを積んで強くなって行った。この馬も、2歳戦で先がどうこう決めないで、長い目で追っていったほうがいい。人気先行で、馬券的にはおいしくないからね」(雑誌記者)
アッシュゴールドがクラシック戦線に乗れば盛り上がること間違いないが、さすがに話が早いようだ。むしろ馬券的には、相手が強くなる次走も人気になることは間違いなく、控えめにしたほうが利口なのかもしれない。
(栗東在住ライター:鷲崎)
栗東在住ライター:鷲崎
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