POGの流行で、毎年4月くらいになると、2歳馬の評判がバンバン耳に入ってくる。だが、この時点で馬はデビューどころかトレセンにもほとんど入っておらず、正体なんて分からない。そもそも調教すらやっていない馬の評判など本来なら分かろうはずもなく、早い段階での2歳馬の取材を嫌う調教師も少なくない。その大きな理由は、馬主への配慮がある。
「誰かの馬を期待と言ったら、他の馬主からは、『ウチの馬はダメなのか』みたいなクレームが来ることもある。だから特に個人馬主の馬の情報は、厩舎だけではなく、牧場側もあまり出したがらない」(雑誌記者)
こんなこともあってか、この世界にはいわゆる「裏の評判馬」みたいな馬が存在するらしい。
「情報が流れやすいクラブ(一口)の馬は、誰が評判なのか名前がよく出るが、個人馬主の中には、あまり騒がれたくないという人もいるから、実は凄い評判でも名前を出さないケースもある。それが裏の評判馬ということになる。
今年、そのパターンで面白いと聞いているのがグリュイエールという馬なんだ。この馬はノーザンFの馬だから、当然評判馬ならPOG関連の本や新聞で大きく取り上げられてもいいはずなのだが、あまり目立った存在じゃなかった。でも、牧場情報に詳しい人やPOGの情報通に聞くと、『ノーザンFの馬では、グリュイエールがお奨め』という話をよく聞くんだ。実際にノーザンFの人がそう話しているかどうかは分からないけど、恐らく取材に行った人の多くが感じたことなのだろう。そんな情報があったのでデビューを楽しみにしていた」(雑誌記者)
そのグリュイエールは初戦こそ2着も、内容は勝ったベルーフに負けないものだった。ちなみにベルーフは、ハイレベル決着となった百日草特別で2着した素質馬だ。そして2戦目は、京都の2000mの未勝利戦。ここでは迫って来た2着馬を再度突き放すレースで快勝。勝ちタイムは2分0秒3のレコードだった。
「まだ2戦だけど、ともに高い素質を感じるに十分のレース内容だった。3戦目は東スポ杯で、かなり強い相手との戦いになる。どちらかというと今より将来というタイプで、いきなり勝ち負けするかは微妙だが現状で通用するなら、裏で言われていたノーザンFの隠し玉的な情報は本当だったってことになる」
昨年は皐月賞馬イスラボニータが勝ち、ダービー馬ワンアンドオンリーですら6着だった東スポ杯は例年ハイレベル。今年もアヴニールマルシェ、クラージュシチー、サトノクラウンなど、大物候補が並んでいる。これらを相手に噂の隠し玉グリュイエールがどんな競馬を見せてくれるか。この情報に信憑性を感じるなら、先物買いをするのもいいだろう。
(栗東在住ライター:鷲崎)
栗東在住ライター:鷲崎
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