史上最高のメンバーと言われた今年のジャパンCは、実力伯仲の大接戦が予想されたが、まさかの1頭独走状態。先行策から早めに抜け出したエピファネイアが、2着に4馬身の差をつける圧勝劇を演じた。
「前走の天皇賞は叩き台がミエミエ。今回は調教でもリズミカルで軽いフットワークを披露し、大きな変わり身を感じさせていた。レースでも、相変わらず折り合いの難しいところを見せていたが、それでもスミヨンは強気に攻めた騎乗。菊花賞のときも福永騎手が強気に攻める騎乗で圧勝したが、この馬は無理に抑えず、かかり気味でも攻めたほうがいい結果が出る。能力を出し切れば、これだけ強いということ。今考えると、ダービーはもったいなかったね」(関西専門紙記者)
史上最高メンバーも終わってみれば1強状態。結果だけ見ればそう見えてしまうが、これをそのまま受け入れていいのか。
「もちろん今回のエピファネイアはケチがつけられないほどの強い内容だ。ただ他の馬がベストの競馬ができたかというと、それも疑問だ。2着のジャスタウェイは調教がいつもよりも動かなかったように状態に疑問があったし、距離の2400mも許容範囲だが、合っているわけではない。
4着のジェンティルドンナもピークが過ぎてるし、5着のハープスターも故障した馬に接触し前のめりになっていた。そこからエンジンをかけなおすため、残り3F前から追い始める形になってしまったから、長い直線は厳しかっただろう。
秋にGⅠが3つあるうえに、凱旋門賞、香港という選択肢もでき、各馬それぞれピークをどこに持っていくかが違っている。だから、ある一戦に凄いメンバーが集まったからと言って、それをナンバー1決定戦にしてしまうのは問題があるのでは」(雑誌記者)
海外遠征が当たり前の風潮になり、凱旋門賞や12月の香港を加えれば、秋のGⅠは5つの選択肢になる。秋のGⅠは馬の能力、適性も大事だが、どこが本当の狙いどころなのか。これを読むことが重要になってくるだろう。有馬記念もそこをしっかり考えねばなるまい。
その有馬記念を含め、ジャパンC組の今後がどうなるか、何人かの関係者に聞いた話をまとめてみた。
「スピルバーグは大外から伸びてくるイメージが強かったが、今回のように馬群の中から抜けてくる競馬ができたのは大きい。ここまで広い東京コースでしか狙えない馬だったが、来年は活躍の場が広がるだろう」
「フェノーメノは天皇賞より内容は良くなっているし、叩いていい馬だから有馬記念で狙える」
「調子もよく、レースでも見せ場はつくったイスラボニータだが、古馬GⅠで長距離はやはり厳しい。来年はマイル~中距離にシフトしたほうがいいだろう」
そして勝ち馬のエピファネイアだ。
「ジャパンC、菊花賞の内容から、長距離でスタミナを生かす競馬のほうが向いている。当然2500mの有馬記念は有力と言いたいところだが、ここまで強い競馬をすると次までお釣りが残っているか。大トビの馬なので、中山コースもいいとは言えないし」
どうやら有馬記念も波乱の余地はあるようだ。今から年末が楽しみである。
(栗東在住ライター:鷲崎)
栗東在住ライター:鷲崎
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