年々、その重要度が飛躍的に高まっている外厩などの育成業界。かつてはデビュー前の馴致と休養馬の調整がメインだったのだが、いまや競馬場のトレセンと変わらないレベルの調教が普通に行われるようになっている。
ところがこの業界は慢性的な人手不足。そのためどこの牧場でも乗馬経験のある人間だけでなく、その経験のないスタッフを採用して教えながら乗せていることも珍しくない。ところが近年は最終的に求められる騎乗技術が格段と上がったこともあって、ついていけずに途中で辞めてしまうスタッフも少なくない。
そこで最近は国内では人が集まらないということで、海外から騎乗経験者を連れてくるケースも増えてきている。年に一度、現地の協力者といっしょに海外でスカウトをしているという育成場の場長はこう話す。
「言葉の壁は確かにあるけど、馬乗りに関しては世界共通だから、片言でも何とか伝わる。しかも現地の競馬場とかで乗っていたから、即戦力だし」
ちなみに以前はオーストラリア等の南半球出身者が多かったのだが、ここ数年はアジア出身者も増えてきているそうだ。だが、今年は現地での集まりが悪かったそうだ。
「円安が進んだからね。給料とかの条件を現地通貨に換算して説明しちゃうと、ここ数年に比べて魅力が減るからね。福島の原発事故の年なみに集まりが悪かったよ」
こんなところにも円安の影響が出ているようだ。
(馬産地ライター:青木)
栗東在住ライター:鷲崎
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