かつて冬場の古馬の中長距離戦はハンデ戦が多く、別定戦のアメリカJCCは貴重なレースだった。有馬記念から続けて出走する馬も多く、豪華メンバーで行われていたものだ。しかし最近は、別定戦となった2月の京都記念に有力馬が向かうことが多く、厳冬期は馬を休ませる傾向も強くなり、アメリカJCCは小粒なメンバーになることが多くなっていた。そんなところへ、まさかのゴールドシップが出走。久々に盛り上がりを見せている。
「AJCにこんな大物が出るなんて久々だから、ファンは喜ぶだろうね。でもGⅠ5勝している馬が、今更GⅡに出るとなると手抜き調整が心配されるが、これまたビックリ。1週前調教は、CWで7F93秒、5F64秒前半、上がりも12秒前半という猛時計。雨で重くなった馬場だから、これはかなり速い。併せた馬が10馬身以上ちぎられたが、この時計では仕方がない。有馬記念を使った疲れは感じられず、GⅡだから8分の仕上げなんていうこともない。今年の目標ははっきりしないが、恐らく宝塚記念だから、かなり先。だから、ここで仕上げても大丈夫ということだろう」(関西TM)
ゴールドシップが万全に近い状態となると、他の馬は厳しい。探すのは2、3着狙いの馬か。
「ゴールドシップ相手では分が悪いが、2着は堅いと思えるのがフェイムゲーム。春もGⅠで着順以上の好内容を見せていたが、昨秋になって更に良くなった。アルゼンチン共和国杯は、長距離戦にしては速い流れを自分から動いて楽に差し切り。時計や勝ちっぷりから、有馬記念でも買いたかったほど。この声は、他の記者からも出ていたよ。残念ながら除外になったが、今年はGⅠを狙える馬じゃないかな」(美浦TM)
ダイヤモンドS、アルゼンチン共和国杯を勝ったことからスタミナ型のイメージも強いが、3歳時には京成杯を勝っており、中山中距離への適性も持っている。
他にも重賞3戦連続3着以内のクリールカイザー、大久保洋調教師が定年間近で大勝負のショウナンラグーンも名が挙がっていたが、このあたりも2、3着が精一杯か。
「恐らくゴールドシップの岩田は、有馬記念で消極的なレースをしたことを悔やんでいるから、ここは早めにまくって先頭に立つだろう。当然レースレベルは上がるから、力の足りない穴馬のチャンスは少ない。ここは昔のAJC杯らしく、強い馬の競演を楽しみたい」
ゴールドシップの強さを見たいのも反面、馬券もしっかり取りたい。それなら無理に穴馬券を取りに行かず、堅実にフェイムゲームあたりを相手にとって、堅くても的中を目指すことが肝要。ここは馬券ばかりに熱くならず、珍しくレースそのものを楽しんでもいいレースだ。
(栗東在住ライター:鷲崎)
栗東在住ライター:鷲崎
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