超スローペースに、もう一個「超」をつけても足りないような遅いペースになった桜花賞。勝ったレッツゴードンキは強かったが、このレースの着順=能力と思っている人は少なく、大敗組にも巻き返しのチャンスは大きい。そして3歳牝馬戦線の色を大きく変えたのがルージュバック。この馬もスローペースに泣かされたクチだが、直線も他馬に比べて伸び脚があったわけではなく、普通の競馬でも勝ったかどうかは微妙。つまりルージュバック1強じゃないことがはっきりしてきたわけで、牝馬戦線は一転混戦模様になってきたと言える。
そこで注目を浴びるのが裏路線組。ここ5年のオークスを振り返っても、桜花賞組が上位3着まで占めたことはなく、特にフローラS組は、昨年を除くと必ず1頭は上位に入っている。今年もフローラSはよく見ておかねばなるまい。
ただ話を聞いてみると、今年の出走メンバーは微妙なようだ。
「例年ならフローラSに出るような馬が、忘れな草賞に出てしまった。桜花賞を除外になったミッキークイーンは仕方がないにしても、ロカはフローラSのほうが確実にオークス出走権を取れたと思うんだけど。更に2戦2勝で注目を浴びるディープジュエリーも、間隔を考えてスイートピーSにまわってしまった。
それもあってか、今年のフローラSは物足りない。オークスに出て面白い馬なんていないんじゃないの?」(競馬専門誌記者)
こうしたことは他の関係者からも聞かれた。それはフローラSで人気を集めそうな組が、怪しい馬ばかりだからのようだ。
「人気は前走で500万を勝ったシングウィズジョイ、リアンドジュエリー、フラワーCで3着のデイアマイダーリンといったところか。でも、どれも一長一短だね。
シングウィズジョイの前走はメンバーがかなり弱かったし、内容もやっと勝ったって感じ。その前の重賞2戦は見せ場なく終わっており、重賞級とは言えない。
リアンドジュエリーの前走も、ダイワミランダが引っかかって、残り4F~3Fで11秒台を出す暴走。これに乗じて差し切った感がある。今回はそんなペースにならないだろうから、あの脚が使えるか。
ディアマイダーリンもはフラワーC3着と重賞実績はあるが、メンバーは手薄。逃げたアルビアーノを捕まえるところか、逆に後続に迫られてしまった内容は高いものではない」(関東競馬記者)
と手厳しい。他の関係者に聞いても、このあたりの馬にはピンと来ないようだ。
となれば昨年も大波乱になったフローラS。今年はオークスの穴馬探しから切り離して、馬券に没頭したほうがいいかもしれない。
そう思ったところへ、もしかしたらオークスも面白いのでは? という馬が入って来た。
「一発逆転を見込むならエバーシャルマンだよ。デビュー戦は4着だったが、一叩きで一変。前走の未勝利戦は、先行した馬が上位に入る展開で、この馬は最後方から。それを向正面で脚を使って中団まで上がり、最後もよく伸びて差し切り。ハーツクライ産駒らしく、いい脚を長く使えるのがいいね。東京の開幕週は斬れ味勝負になりにくいから、こういう馬のほうがいいんだよ。
そして何より注意すべきは堀厩舎の馬であること。2年前のエバーブロッサムも、2戦目の未勝利戦で一変して勝利を得ると、フラワーC2着、フローラS2着、オークス2着と激変した。もう堀厩舎というだけで怖いよ」
1勝馬ゆえに出られるかは抽選待ちだが、もし出走可能となったら、厩舎込みで要注意だ。
(美浦ライター:高木)
栗東在住ライター:鷲崎
WASHIZAKI
熟練競馬ライター達がとある事情で新聞・テレビなど一般メディアでは取り上げられない業界の「アウトな裏話」を会員様限定でこっそりと公開!