近年のマイル路線は主となる馬が不在で、安田記念もここ2年、ロードカナロア、ジャスタウェイと別路線から参戦した馬が勝利を収めている。このように混迷したマイル路線に現れた待望のマイルの大物候補。それがモーリスへの期待感だった。
これに応えてモーリスは勝利。ついにマイル戦線にスター誕生となったのか。
「いつもは出遅れるけど、今回はスタートも良かったし、ソツなく好位につけ押し切っての勝利。ただ、ダービー卿CTのインパクトが強すぎたか、ちょっと物足りない勝ち方だった。もちろん安定した成績を残すなら、安田記念のような競馬が一番いいのは分かるけどね。それでも、この馬に関してはもっと脚を溜めて、終いを生かす競馬をさせたほうがいいと思うんだけどなあ。この馬はただ勝つだけでなく、ファンを魅了するような競馬を期待したい」(雑誌記者)
ダービー卿CTと安田記念では相手のレベルが違うので、後ろから行ったら勝てたかどうかは微妙なところ。結果勝ったのだから先行策は成功だったのだろう。ただマイル戦線で多くのファンを競馬場に呼べるような存在になるには、インパクトのあるダービー卿CTのような競馬を見せられるほうが理想ではあるのだが。
とりあえずモーリスがマイル路線の中心となってきたように思えるが、これからのマイル路線の主役には、2着のヴァンセンヌのほうを推す関係者もいる。
「今年の安田記念はペースも緩く、先行馬には有利だった。そんな展開で後方から上がってきて、モーリスに迫ったヴァンセンヌの内容は非常に濃かった。しかも直線では内に入って前が壁になり、動きづらくなってしまった。そこから外へ出すロスがあっての少差2着だから、スムーズなら差し切れたかも。
6歳馬だけど、故障で長期休養がありキャリアも少ないせいか、馬も若々しい。まだまだ上積みがあるので、秋はこちらがマイル路線の主役となっている可能性はある」(関西記者)
人気で負けた組の評価はどうなのか。
「ダノンシャークは調教時計がこの馬にしては物足りなく、一頓挫の影響があったのだろう。フィエロも見せ場はあったが、最後の伸びが甘い。このあたりが未だ重賞未勝利を証明している。京都向きなのでマイルCSのほうが期待はできるが、モーリスやヴァンセンヌを逆転となると厳しい。ミッキーアイルも抑える競馬ができるようになったと話していたが、結局2、3番手でも折り合いを欠いているのでは意味が無い。短距離路線に専念したほうがいいのかも」(競馬専門誌記者)
どうやらこの先のマイル路線は、モーリス対ヴァンセンヌの2強状態が濃くなっていきそうである。
(美浦在住ライター:高木)
栗東在住ライター:鷲崎
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