この開催のある重賞に明らかに距離適性外のレースに出走していた馬がいた。この馬はG1ホースも過去に破ったことのある馬で持っている素質は相当なものがあると言われているのだが、未だにG1タイトルには手が届いていない。
「騎手も固定できないのが痛いよね。そもそも、この馬が関西馬ならとっくにG1を勝っていると言われている馬。運に見放された部分があるのは確かだけど、厩舎も考えられないくらいのミスをしたこともあるし、いろいろと言われるのも仕方ないよね」
走る馬を預かる故の悩みというのは尽きぬものだが、結果が出なければいろいろと言われてしまう社会でもある。
「馬主も調教師に意見を言うだろうし、それは悪いことではない。ただ、その際に競馬に詳しいはずの調教師が主導権を取れないようではおかしいと思うよ。この調教師の場合は、主導権を取れないんではなくて取らないだけなんだけど」
聞けば、この調教師、スタッフの指摘も馬主の言うことも「基本的にはそのまま通す」というタイプらしい。
「ただの御用聞きだから。息子も仕上げの腕があるようでない。結局、自分たち一族で厩舎の中心部を担っていることもあるし、成績が出なくてもそこそこ馬はいるのでヤル気もあるんだかないんだか。このとある馬もたまたま走ったと言われている。ところが、この馬の馬主は義理堅く、歯痒い状況となっていても新しい馬を預けているんだ。馬主にしてみれば、自分の意見を聞いてくれる、リーディング上位厩舎よりも融通が利くってことらしい。半分ダビスタだよね(笑)。普通は他の厩舎に馬を預けるところだよ」という。
中堅以下の厩舎に、それなりの器の馬が入ったら入ったで悩みは尽きないようだ。
(関東ライター:高木)
栗東在住ライター:鷲崎
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