「クラシックを狙える真の大物登場か」
スプリンターズSは、前哨戦のセントウルSで敗れながら、それでもファンはロードカナロアを信じ、断然人気に支持した。馬もこれに応え、ロードカナロアは快勝。これでGⅠだけなら5連勝。能力が抜けていることを改めて見せ付けた。
だが陣営は、前走の敗戦がよほどショックだったのか、この一戦に賭けるものは非常に大きかった模様。もし負けたら、この一戦で引退も覚悟していたという。レース後の岩田騎手のインタビューでも、それをほのめかす言葉が出ていたが、覚悟も相当大きかったのだろう。GⅠではいつも見られるゴール直後の派手なガッツポーズも、謎の両手を上げるシーンもなく、笑顔も見られなかった。ただただ勝利にホッとした感じだった。
今後のローテーションは完全には決まっていないが、香港スプリントが有力。ここも勝てば、スプリンターながら年度代表馬の選出もあるかもしれない。
2着には2番人気のハクサンムーンが入り、馬連、馬単はガチガチ人気。この馬は前回も書いたが、レース結果以外にも注目されていたシーンがあった。それが旋回癖。これが特に多いときは、馬がやる気を出して絶好調のサインという話だったので、GⅠを迎え尚更注目度は増していた。
そして馬場入場後、案の定クルクル回りだした。カメラマンの間で、このシーンは有名になっており、「これから始まるぞ」とカメラを構えて待っていたが、誘導馬に乗っている職員は「あれ見たぁ~」と不思議そうな顔をしていた。
この先もハクサンムーンが出ていたら、どれくらい旋回するか見てみるのも一興だろう。
それから、これは馬券に関係のない話だが、緊張が張り詰めたスプリンターズSのパドックで、周回中に「止ま~れ~」の号令が。しかし、騎手は誰も出てこない。つまり号令をかけたのは、いたずらだったのだ。一昔前に「号令おじさん」というのが中山にいたが、それが復活したのか。こちらもハクサンムーンの旋回同様に注目、いやいやこちらは止めてもらいたいものである。
他の重賞にも触れておきたい。シリウスSでは、レパードS2着のサトノプリンシパルが人気になったが、早々と捕まり15着大敗。同レースで3着だったケイアイレパードが勝利を収めた。これまでは先行することが多かったが、今回は脚を溜めて、末脚勝負に賭けたのが勝因か。プラス16キロの馬体は、ついに564キロに到達。JRAダート重賞の最高体重の勝利となった。
西浦厩舎と幸騎手のコンビは、ホッコータルマエもおり、これでダート路線は2枚看板となった。
2歳戦では、トゥザワールド、ドラゴンストリートと評判良血馬がぶつかった阪神芝1800戦の新馬が話題になったが、両頭ともに敗れる波乱。しかも勝ったバンドワゴンが後続に6馬身をつける大差で圧勝した。
「この馬も調教が動いていたし、普通の新馬戦なら人気になったはず。それがあの2頭(トゥザワールド、ドラゴンストリート)のおかげで影が薄くなってしまった。勝ちタイムは速いし、上がりラップも文句なし。新馬戦だけの比較だったら、ここまでで一番じゃないの。普通に成長してくれれば、来年のクラシックの主役になれる器だね。ただ、新馬からいきなり派手な競馬をする馬って、早熟性が強く、結構成長しない馬も多いけどね。この後の2、3戦目が重要。ここで更に強い競馬を見せてくれれば、クラシックも行けるのでは」(関西競馬記者)
血統は地味だが、今世代の中心になる可能性もある馬なので、次はしっかり注目したい。
(栗東在住ライター:鷲崎)
栗東在住ライター:鷲崎
WASHIZAKI
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