きさらぎ賞は、1週前段階で出走を表明している馬がたったの5頭。昨年のデイリー杯2歳Sも1週前段階で出走表明していた馬が6~7頭ながら最終的に14頭立てになったので、きさらぎ賞ももう少し増えるだろうが、デイリー杯のような多頭数になりそうにない。
ただ出走頭数が少なくても、きさらぎ賞は先々を考えるとかなり重要な一戦となる。その大きな理由がサトノダイヤモンドの存在だ。
「朝日杯を終わった後は、リオンディーズの評価がずば抜けていた。『3冠馬かも』、『凱旋門賞だって勝負になる』など、もはや皐月賞、ダービーはこの馬で決まりという雰囲気も出ていた。
この空気を一瞬に変えたのが、朝日杯の翌週に500万を勝ったサトノダイヤモンド。あのレースは阪神の稍重馬場。2歳馬には厳しいタフな馬場だったが、それでいて上がりが11秒8-11秒5-11秒3という加速ラップでのゴール。相手が弱かったという人もいるが、この時計だけで価値は分かるよね。折り合いもつくし、レースセンスもあり、仕掛けるとすぐに反応できるのもいい。馬体も立派で、文句をつけるところがほとんどない。
管理する池江厩舎には、この馬以外にも京成杯を勝ったプロフェット、2戦2勝の1億円馬ジークカイザーと期待馬がいるけど、雰囲気はサトノダイヤモンドが抜けているというイメージ。この馬の登場で、明け3歳はリオンディーズ1強状態じゃなくなったよ」(栗東記者)
そのサトノダイヤモンドがついに重賞に出てくるのだから、きさらぎ賞が注目されるわけだ。
ただ、このレースはサトノダイヤモンド以外にも注目馬がまだまだいる。
「逆転を狙うのはロイカバードです。デビュー戦は5億円対決(ロイカバードが税込2憶52200万円、サトノダイヤモンドが税込2億4150万円)で話題になりましたが、結局サトノダイヤモンドが快勝。ただ、あの時は稍重馬場で、ロイカバードは馬場の差で負けたとも言えます。実際、鞍上の武豊騎手も、『良馬場なら』と、まだまだ白旗は上げていません。
そのロイカバードは、以降の2戦を豪快な差し切りで連勝。前走は京都の芝2000mを2分0秒4の好タイムで勝っています。今の京都は速い時計が出るので、この馬には有利ですね。サトノダイヤモンドは2連勝ともに重い馬場で、速い馬場への対応は未知ですから」(競馬雑誌ライター)
再度の5億円対決はきさらぎ賞一番の話題だろうが、他にも期待馬は存在する。
「頭数が少なく、これといった逃げ馬もいない。しかも平坦の京都で、極端な瞬発力勝負になる可能性が高い。そうなるとレプランシュの出番。少し出していって折り合いを欠いた2戦目こそ敗れたが、他の2戦は後方でしっかり脚を溜め、新潟の新馬戦は上がり3F32秒4、3戦目の阪神シクラメン賞は33秒1の高速上がりをマークして勝っている。サトノダイヤモンドが抜けているというが、どちらも上がりがかかる馬場。上がり勝負になれば、実績あるレプランシュが勝る可能性もあるよ」(関西元専門紙記者)
更にはスローペースでロワアブソリューを推薦する人も。
「新馬戦は逃げながらも最後の2Fを10秒8-11秒3でフィニッシュしたのだから、単なる逃げ馬では無く、終いで速い上がりを使える。この時2馬身半差下したミッキーロケットが2戦目を快勝しているのだから、この新馬戦の価値は高い。
兄姉のベステゲシェンク、シュプリームギフトは短距離で活躍しているが、この馬は中距離でも大丈夫。サトノダイヤモンドを倒すには、同じタイプの差し馬では駄目。先行できるこの馬しかない」(競馬専門誌記者)
他にも、母にムードインディゴを持つ良血で、2戦前の未勝利戦を好タイムで勝ったノガロもおり、今年のきさらぎ賞は少頭数でも魅力のある馬ばかり。サトノダイヤモンドでガチガチと思い込むのは危険だ。
(栗東在住ライター:鷲崎)
栗東在住ライター:鷲崎
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