『41戦0勝』
これは何の数字かというと、福永祐一騎手のこれまでの3歳牡馬クラシックにおける成績である。福永騎手はデビュー以来JRAのGⅠを16勝しており、牝馬クラシックでは桜花賞2勝、オークス3勝、また2歳GⅠでは朝日杯、阪神JF各3勝をあげているにもかかわらず、なぜか牡馬クラシックには縁がない。
「結婚もしたことやし、今度の菊花賞こそはなんとか勝ってほしいね」
こう語るのは栗東のベテラン厩務員。福永騎手に限らないが、トレセン育ちの騎手たちは、ベテランの厩舎関係者からの受けがいい。
「僕らがこの世界に入ったころは、(父の福永)洋一さんが神様みたいな存在やった。当時は騎手のフリー化なんてなかったから、よほどの馬、特別なレースでないと騎乗依頼ができなかった。いつかは洋一さんに乗ってもらえる馬を担当したい、若いころはそう思って仕事をしていた。ユタカが出てきたぐらいから流れが変わって、今はよその(厩舎所属やフリーの)騎手にも気軽に騎乗依頼ができる時代になったけど、あのころのこともあって、やっぱ祐一には特別な思いがあるわ」
現在の関西リーディングは川田騎手、岩田騎手、浜中騎手による争いだが、この3人を追う福永騎手や武豊騎手、さらに和田騎手あたりのトレセン育ち騎手を好意的に思う厩舎人は少なくない。
「2世ジョッキーで言うと、競馬会とか組合がうるさくなって以降はいいのが出てこなくなったね。やっぱ小っちゃいころに厩舎で遊んでいた世代と、親の職場に来なくなった世代だと全然でデキが違うもん。祐一とかはギリギリ遊んでいた世代だけにがんばって欲しいけど」
厩舎人も応援するエピファネイアの菊花賞。果たして福永騎手は人気に応えることができるのだろうか。
(栗東在住ライター:鷲崎)
栗東在住ライター:鷲崎
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