23日火曜日にジェイエス繁殖馬セールが開催される。同セールは繁殖牝馬のトレードを目的としたセールで、今年の上場頭数は233頭。しかも社台グループの牧場から上場される繁殖牝馬が90頭弱、ほかにダーレー・ジャパンも30頭以上の繁殖牝馬を売却する予定である。
このように書くと、「なんだ社台グループの牧場では90頭弱もの繁殖牝馬がクビになるのか」と思われるかもしれないが、これは致し方ないことである。
「千歳(社台ファーム)とノーザンでそれぞれ300頭以上、さらに白老と追分の分を含めると社台グループ全体の生産頭数は年間800頭以上。単純に牝馬が半分として400頭、そこから成績不良等で繁殖に向かないと判断された馬が仮に半分としても、残りの200頭は牧場に戻ってくる。もちろん高齢の繁殖牝馬が死亡したり、セールを経由せずに他牧場に移動する馬もいるけど、毎年これぐらいの頭数を売却しないと牧場自体が繁殖牝馬だらけでパンクしてしまうからね。これは社台だけでなくどこの牧場でも同じことだよ」(馬産地の競走馬流通に詳しい専門家)
ちなみに今年の重賞勝ち馬であれば、グランプリボスやカポーティスター、アイムユアーズなどの母が過去このセールでノーザンファームから外部の牧場に売却されている。これもクビというより致し方のないことと捉えるべきだろう。
ただ上場馬リストの販売申込者のところを見ると、7頭を売却する金子真人ホールディングス、4等を売却する市川義美氏をはじめ大迫久美子氏や田所英子といった牧場関係ではない個人馬主さんの名前もある。
「個別の事情はわからないのであくまでも一般論なんだけど、以前に比べて生産関係の手当も減ったしアドバイスができる調教師さんも減った。そうなるともう普通の個人馬主さんが繁殖牝馬を持ち続けるメリットが少なくなったと思う」(同)
セレクトセールなどと異なりファンにはピンとこない繁殖牝馬セールだが、こうしてみると今の生産界の傾向がなんとなく読み取れるのではないだろうか。
(馬産地ライター:青木)
栗東在住ライター:鷲崎
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