今年の競馬もあと3週、GⅠでいえば牡牝の2歳GⅠと有馬記念を残すのみとなった。こうなると注目は餅つき競馬。そう何かと入用な年末年始に向けて厩舎関係者が馬を仕上げて一発! というのがおなじみの時期である。だが厩舎関係者をリサーチするともうその考えは古いのかもしれない。
「年末年始に向けてカネは欲しいし、最後に勝っていい形で年を越したいのは誰もが思うもの。でも現実にそれができるのは、リーディング争いをしている一部の上位厩舎だけ。ウチなんかは諦めたよ」
こう話すのはとある中堅厩舎で番頭を務める調教助手。彼はなぜ諦めてしまったのだろうか。
「今はほとんどの馬が外厩を絡めて、状態と馬房の空きを相談しながらの調整。だから厩舎の一存でどうこうできる機会が減ってしまった。仮に年末に激走しても、そのツケで年明けがボロボロなら何を言われるかわからないしね。年末の勝負駆けができるのは、ギリギリまで仕上げて満身創痍になっても、また別のいい馬が控えている上のほうの厩舎だけだよ」
有力馬が豊富にいる厩舎以外はもう餅つき競馬も期待できないというのだから、さびしい限りである。もっともこの助手と親しい若手調教師はこんなふうに説明してくれた。
「それ、半分はウソだよ。こないだ会ったら、″みんなが狙いに行く年末よりも、メンバーが落ちる年明けを目標にしたほうが楽だと思う″なんてホンネを話してたもの。それに我々は月曜入金だけど厩舎スタッフの進上金が月給払いのところだと、12月に走っても進上金が貰えるのは1月下旬だったりするからね」
必ずしも餅つき競馬というわけではないことは確かなようだ。
(美浦ライター:高木)
栗東在住ライター:鷲崎
WASHIZAKI
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