今年からGⅠに格上げされた大阪杯。サトノダイヤモンドこそ不在(天皇賞・春が目標)だが、昨年の年度代表馬キタサンブラックを筆頭に、ダービー馬マカヒキ、香港ヴァーズを勝ったサトノクラウンなどGⅠに相応しい大物が出走し、楽しみな一戦となった。
中心視されるのも先の3頭だ。
「関西での注目はもちろんキタサンブラックとマカヒキ。
キタサンブラックは1週前にCWで6F78秒台、5F63秒台、終いは12秒と、かなり速い時計を出せたように仕上がりは上々。毛ヅヤの良さも目立ち、状態は今までの休み明けよりもいい。
少々不安を挙げるなら、昨年の大阪杯で2着、宝塚記念で3着に敗れていること。前へ行って脚を溜め、直線で切れる脚を使える馬なので、レースが流れやすい内回りコースは、脚が溜まりにくい点でマイナスになる。マルターズアポジーやロードヴァンドールが速めのペースで行く馬だけに、ちょっと戸惑うこともあるかもしれない。まあ不安はそんなことくらいしかないね。
マカヒキのほうも1週前にCWで7Fから時計を出し、5F64秒台の速い時計。京都記念を叩いて調子は上がっている。
問題は、その京都記念の3着をどう捉えるか。伸びきれなかったのは馬場のせいもあったし、久々だからという見方もある。しかし一度は交わしたスマートレイアーに差し返されての3着は、どうも不満が残るところ。阪神の2000mは直線も長くないし、この馬に合うコースではない」(関西記者)
キタサンブラック、マカヒキともに仕上がりはいいが、マカヒキの不安点は少々心配な面もある。
対する関東の代表格サトノクラウンを見てみよう。
「香港でハイランドリールを負かしたのは驚きましたね。その前の3戦が12、6、14着だからなおさらです。いつものサトノクラウンなら、勝った後で大敗するところですが、続く京都記念を快勝。このあたりに成長が見られます。
もともと皐月賞の頃は、同厩のドゥラメンテより期待が高かった馬。これくらいの結果を残しても不思議はありません。切れるという馬でもないので、阪神の2000mも合うと思います」(競馬専門誌記者)
同じ差し馬なのでマカヒキが比較対象になりやすいが、コース適性はサトノクラウンに分がありそうである。
ここまでの3頭で決まったら、馬券はガチガチ。そんな3強のラインを壊す候補はどのあたりになるのか。
「音無勢は、1週前にアンビシャスとミッキーロケットが併せ馬。先着したのは稽古駆けするミッキーロケットだが、馬券の狙いはアンビシャスのほうだろう。
中山記念はスローペースを後方から進み、大外をまわっての4着。変な言い方だけど、前哨戦としてはいい負け方だった。もともと目標は大阪杯だし、今回の出走メンバーの中でも、特に勝負度合の高い馬じゃないかな。
昨年の大阪杯では、キタサンブラックを破ったようにコースも合う。問題があるとすれば、折り合いが難しいので、テン乗りの福永がうまく操れるかってことくらいだね。
それからヤマカツエースの上昇力も侮れないよ。勝った金鯱賞から中2週だけど、その前走も幾らか余裕を持たせたつくりだったので、上積みはある。金鯱賞の2勝も強かったが、有馬記念では直線で進路を変える不利がありながら4着に入線。もう格下と思わないほうがいい」(関西記者)
アンビシャスは昨年の大阪杯に福島のラジオNIKKEI賞、ヤマカツエースは福島記念、中山金杯と、阪神2000mに近いコースの重賞を勝った経験があり、高いコース適性が見込める。
関東からは、逃げ馬マルターズアポジーに期待する声も大きいようだ。
「キタサンブラックの武豊騎手は、後続(マカヒキ、サトノクラウン)を考えると、脚を溜めて前は突っつかないと思います。そこで面白いのは逃げ馬マルターズアポジーです。距離の長い有馬記念こそ大敗しましたが、1600~2000mだと近4戦4勝。特に前走は1000m57秒台というハイペースで逃げ、2着に2馬身差と余裕をもって逃げ切りました。阪神の内回りなら直線も長くないですし、4コーナーで後続を離す形になっていれば、3着以内に残れる可能性はあります」(競馬専門誌記者)
逃げ馬が有利になるGⅠは少ないだけに、このタイプの馬がGⅠを目標にするなら、阪神内回りコースの大阪杯はチャンスとなる。マルターズアポジーも力の入る一戦だろう。
キタサンブラック、マカヒキ、サトノクラウンに人気は集まるだろうが、他馬にも魅力のある馬は盛りだくさん。中でも、大阪杯目標の気持ちが早くから強かったアンビシャス、穴を狙うならマルターズアポジーの大逃走に期待したい。
(栗東在住ライター:鷲崎)
栗東在住ライター:鷲崎
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