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競馬コラム

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2017年05月21日(日)更新

皐月賞組は危ない? 裏路線組が注目のダービー

今年の3歳牡馬はレベルが低いという定評があったが、皐月賞はレースレコードでの決着。史上最高と言われた昨年の皐月賞よりも、当然速いわけだ。こんな速い時計が出たのなら、低レベルなんてことはないはず。そう考えたくもなるが、多くの関係者に聞くと、今年の皐月賞のレコードタイムはそれほど価値があるものではないようだ。

「皐月賞の歴代の時計を比べても、それぞれペースも違えば、年によって馬場も違う。だから単純に字面を見ても意味はない。今年は当週の時計が全体的に速く、皐月賞も好時計が出ることは予想されていた。まさかレースレコードまで行くとは思わなかったが、それほど驚く時計ではないよ」(関西記者)

この関係者は時計の価値云々よりも、こうした時計が出たことが危ないと話す。

「これまでの皐月賞で、いわゆる高速馬場決着と感じたレースは何度かあった。少し古いところだと、コースレコードが出たノーリーズンの時。前に行った馬で決まったのに、字面ではハイペース決着のダイワメジャーの時。最近ではロゴタイプ、そして今年のアルアインかな。

これらの皐月賞に通じるのは、道中のラップが緩まず、脚を溜める瞬発力型の馬が苦戦したこと。逆に持続力のあるマイラー系のスピード馬が活躍したこと。そして勝ち馬がダービーで凡走したこと。

今年の勝ち馬アルアインも、2着のペルシアンナイトも、お互いマイルのシンザン記念に出走していたように、マイル向きと思われていた時期もある馬。うまく今年の皐月賞に嵌った感は強い。

ただ高速決着になった時の皐月賞は、上がり勝負になりやすいダービーのレース傾向とはリンクしにくい。実際、ダイワメジャーが勝った皐月賞も、一桁着順の馬が全てダービーは着外。逆に皐月賞からの臨戦でダービー上位に入ったハーツクライ、キョウワスプレンダ、スズカマンボは、全て皐月賞は二桁着順の馬だった」

さすがにここまで極端な結果になるとは思えないが、今年の皐月賞も、ダービーとのリンクが薄い気はしてきた。それではダービーで有力はどの馬となるのか。もう一度高速馬場決着となった皐月賞世代の時のダービーを見てみると、『前走』にヒントがある。

皐月賞をノーリーズンが勝った世代のダービーは、1着タニノギムレットがNHKマイルC(3着)、2着シンボリクリスエスが青葉賞(1着)、3着マイネルアカツキがプリンシパルS(2着)。ダイワメジャーが勝った世代のダービーは、1着キングカメハメハがNHKマイルC(1着)、2着ハーツクライが京都新聞杯(1着)、3着ハイアーゲームが青葉賞(1着)。そしてロゴタイプのときが、1着キズナが京都新聞杯(1着)、2着エピファネイアが皐月賞(2着)、3着アポロソニックが青葉賞(2着)。

こうしてみると、上位馬のうち皐月賞から臨戦の馬はエピファネイアのみである。 どうやら今年も、狙い目は皐月賞以外から臨戦してきた馬が有力となりそうだ。そうなると、青葉賞を勝ったアドミラブルが俄然クローズアップされる。

「新馬戦で大敗したが、これはノド鳴りの影響が大きかった。すぐに手術を施し、復帰初戦は好タイムの楽勝。手術でここまで変わる馬は珍しい。

この一戦で大物の予感はあったが、その後も楽に連勝。特に前走は出遅れながら、3~4コーナー過ぎから上がっていき最後まで止まらないのだから、相当にスタミナもある。

阪神芝1800mを好タイムで押し切ったスピードに、青葉賞で見せたスタミナ。2つの大きな武器を持つのだから、他馬より頭一つ上だよ。青葉賞勝ち馬はダービーを勝っていないジンクスはあるが、フェノーメノがハナ差2着もあるし、反動云々はそれほど心配しなくていい。実際アドミラブルの前走は余裕があり過ぎて、最後は馬が遊んでいたほどだからね。1週前調教は軽めだが、これは前走も同じ。中3週続きで、馬も陣営もレースへ向けて調整しやすくない。今年の3歳牡馬で、本当に強い馬は、アドミラブル一頭だと思うよ」(競馬記者)

青葉賞もレースレコードだから、皐月賞組同様の心配を持ったが、この話から心配は無さそうである。

また別の記者は、裏路線組でサトノアーサーを挙げる。

「池江厩舎は、アルアイン、ペルシアンナイトで皐月賞をワンツー。この2頭をGⅠに出したのだから、一見エース格はこの2頭に見えがちですが、池江厩舎の本当のエースはサトノアーサーです。

セレクトセールに行けば分かるのですが、池江調教師は、父の泰郎氏とともにセリ中は里見氏にくっつきっぱなし。それだけ池江さんは、里見さんの馬を大事にしているのです。サトノアーサーも早くから一番馬の噂がありましたし、早くからダービー1本を狙っているという話も入ってきました。

里見さんは、一昨年のダービーがサトノラーゼン、サトノクラウンで2,3着。昨年がサトノダイヤモンドで悔しいハナ差2着。これだけ惜敗が続くと、何が何でもダービーは欲しいはず。それは池江調教師だって分かっていると思います。サトノアーサーも脚質から皐月賞向きとは思えず、これをパスしてダービー1本は正解ではないでしょうか。

皐月賞、青葉賞、プリンシパルSとダービー路線は速い時計の決着ばかりで、それぞれ反動も気になります。この3つのレースに出ていないサトノアーサーは、体調面でも有利だと思います」(競馬専門誌記者)

今年の皐月賞はレース内容から、ダービーとはリンクしない。そこで有力は別路線組にあり。

ダービーは、アドミラブル、サトノアーサーを中心に、穴馬も別路線組に潜んでいるかもしれない。

(栗東在住ライター:鷲崎)

 

栗東在住ライター:鷲崎

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