5週連続GⅠの最後を締める安田記念。抜けた馬はいないものの、おかげで馬券的妙味は増すばかり。好メンバーが揃い、激戦は間違いない。
勝ち馬どころか人気馬を読むのも難しいが、1番人気の候補として挙がるのがマイラーズCで久々の勝利を掴んだイスラボニータだ。
「マイルCSや天皇賞・秋など、GⅠでも上位に来ていたので、実は3歳時のセントライト記念以来勝っていないことに気づきませんでした。2年以上勝ち星から遠ざかっていたわけですが、全く衰えは無いですし、ルメール騎手が主戦になってから2、2、2、1着と高いレベルで安定しています。2、3歳時は左回りのほうがいいと言われていた馬で、東京コースになるのはプラス材料。昨年の安田記念は5着でしたが、この頃は中山記念、大阪杯ともに崩れていたように調子そのものが良くなかったですからね。今年は成績を比較しても分かるように絶好調ですから、皐月賞以来のGⅠ勝ちも見えてきました」(競馬専門誌記者)
そういえば、昨年の安田記念の勝ち馬ロゴタイプは、イスラボニータの一つ上の皐月賞馬。この馬の安田記念勝ちもまた、皐月賞以来のGⅠ勝ちだった。そのロゴタイプの2連覇はあるのか。
「この馬も7歳になりますが、大きな衰えは見られません。香港マイルは5着も、日本馬最先着。中山記念も骨っぽいメンバー相手に3着です。昨年同様ペースが遅くなれば、チャンスはあります」(前出記者)
これに対し関西は、中距離路線からマイルを狙ってくる馬が有力のようだ。
「マイルでGⅠ初勝ちを狙うのがアンビシャス。前走の大阪杯は、福永騎手がテン乗り。『出すと引っかかる』と周囲がうるさいくらいに言うからか、鞍上も慎重に乗り過ぎ、脚を余す形で敗れた。でも、この馬らしい末脚は見せてくれた。
今回は横山典騎手に乗り替わるのは大きい。昨年の大阪杯で彼が騎乗したときは、かかることを恐れず先行し、キタサンブラックを破っている。マイル戦は2歳時だけど、一応2戦2勝。距離が短くなることで折り合いも楽になるし、相手が楽になるのも大きい。
同じことはステファノスにも言える。なかなかGⅠを勝てないが、前走の大阪杯、一昨年の天皇賞・秋2着と実績はあるからね。中距離に比べると、マイルは同じGⅠでも相手が楽。マイル戦は久々だが、東京マイルの富士Sを勝っているから適性が無いわけじゃない。主戦の川田騎手は乗れないが、戸崎騎手を確保できたので大丈夫」(関西記者)
距離的な不安はあるものの、キタサンブラックと戦った経験は他のマイル組には無いものだ。
そのマイル戦線に来てからもう一つ弾けないのがエアスピネル。今年のマイルの主役と目された馬が、大一番で期待に応えられるか。
「マイルへ来て京都金杯を勝ったけど、僅かにハナ差。その後東京新聞杯3着、マイラーズC2着と結果は安定しているものの、この馬への期待を思えば物足りない。でも馬自体は調子が悪いわけではなく、1週前も一番時計を出して元気いっぱい。安田記念を目標にしてきたから仕上げは申し分ないよ。ただ前走でもかかるところがあったので、レースへ行って脚が溜まるか。思ったほど切れないので、スロ―過ぎると切れ負けるイメージもあるし、ペースが上がってくれればいいが」
本来なら大本命になるべき馬なのだが、最近は人気先行の面もあり、馬券的妙味は薄い。
ここまでだとイスラボニータ、アンビシャスあたりに食指が動くが、今年は外国勢も怖いようだ。
「香港のマイルはレベルが高いし、来日した2頭はどちらも有力。ビューティーフリーは、昨年12月の香港マイルで優勝。この時日本から遠征した3頭は、ロゴタイプの5着が最高で、サトノアラジンは7着、ネオリアリズムは9着。GⅠで活躍できる馬が遠征して負けたのだから、ビューティーフリーの力は高く評価したほうがいい。
この馬を、前走のチャンピオンズマイルで破ったのがコンテントメント。去年の安田記念は惨敗したが、この結果だけで通用しないと思わないほうがいい。マジックマンことモレイラに乗り替わるからね」(競馬ライター)
主役不在のマイル戦線。この隙を突き、香港勢が久々に安田記念を制するシーンも想定しておきたい。
(美浦在住ライター:高木)
栗東在住ライター:鷲崎
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