安田記念は想定通り1分30秒台の高速決着。2回→3回へと開催は替われども、実質的な連続開催なら時計のバーゲンセール終了とはならないのが当たり前だろう。残念だったのはスタート直後に起こったアクシデント。ロジクライの斜行によってアーモンドアイ、ダノンプレミアムの2強を含む4頭が大きな不利を受けてしまった。前4ハロン45秒8→後4ハロン45秒1と前が止まらない展開だっただけに、このアクシデントで位置取りを下げざるをえなかったのは致命的なロス。
インディチャンプの戴冠にケチをつける気は毛頭ないが、直線で猛追してきたアーモンドアイが最も強い競馬をしたという指摘にも一理ある。少なくとも、ガチンコ勝負で蹴散らされたわけでないことだけは確か。自身最速をコンマ8秒縮める上がり32秒4は現役最強馬の矜持といったところか。
5週連続GⅠが終了して本格的に夏競馬へと移行。いわば祭りの後といった格好の東京も、本格的な梅雨入りを迎えるまでは目下の高速馬場に変わりはなかろう。例年より時計一つ分上の馬場レベルとみれば、今週のエプソムCのVタイムは1分44秒台突入が濃厚。時計が速くなればなるほど地力が問われるのが競馬の常なら、極端な波乱劇の起こる可能性はさほど高くない。
実力最重視での軸決めが吉と出そうな雲行きならば、大きく浮上するのがミッキースワロー。GⅡ快勝の17年セントライト記念は4ハロン目からゴールまで加速し続けるハイレベルなスピード持続力型ラップ。前走の新潟大賞典(2着)では一転、上がり32秒台の瞬発力発揮とラップ対応にスキがない。今回は叩き2走目、斤量1.5キロ減とプラス材料しかない別定GⅢ。能力だけ駆ければ、格の違いを見せつける公算が高いとみた。

明石尚典
AKASHI TAKANORI
関西学院大学法学部卒。大阪スポーツの若き俊英記者として知られる。ラップ理論の先駆者でもある上田琢巳記者を師と仰ぎ、同氏からの信頼も厚い。東スポ・大スポ週末版で「ラップナビゲーター」を大好評連載中。