天候に恵まれなかった福島、中京開催とは打って変わって快晴のもとで迎えた新潟、小倉開催。開幕週の小倉芝6ハロン10鞍の前3ハロン平均は33.43秒。小倉名物とも言える猛烈ラップを刻みながら、ゴール前での大勢逆転は3勝クラス・佐世保S(勝ち馬エイシンデネブ)の1鞍だけにとどまった。残る9鞍はすべて4角3番手以内の馬が勝利と圧倒的な先行馬優勢の結果。陽がさんさんと降りそそいだターフが絶好の馬場レベルを保っているうちは、この傾向がしばらく続くとみるのが妥当な線か。
一方の新潟はダートでちょっとした異変が。昨夏は29鞍のうち27鞍で4角5番手以内の馬が勝利した「先行天国」の9ハロンで差し切り勝ちが続出。猛暑で乾き切ったダートをスピードだけで押し切るのは難しくなってきたということか。因果関係はともかく、砂上にあらわれたこのわずかな変化を決して見逃すわけにはいくまい。
開幕週で得たヒントを元に導き出した答えは小倉記念=タニノフランケル、レパードS=サトノギャロス。前者は大半が差し、追い込み脚質のメンバー構成で十中八九ハナを切れる。前後半4ハロン47.3秒→47.1秒の中山金杯、47.6秒→47.3秒の小倉大賞典で3→2着。単騎マイペースで前後差1秒以上の後傾ラップに持ち込めれば、ゴール前でもうひと伸びするシーンがあっていい。
後者は除外を挟んで目下3連勝と勢いはナンバーワン。未踏の9ハロンがどうかだが、前走・清里特別(東京7ハロン)のVタイム1.23.0秒に25.0秒加算で1.48.0秒。重→良馬場換算でさらにプラス3~4秒としても9ハロン1.51.0秒から52.0秒の間で走れる計算だ。出遅れ→後方待機を余儀なくされた前走で脚質の幅が広がったのは思わぬ収穫。能力全開なら十分タイトルに手が届く。

明石尚典
AKASHI TAKANORI
関西学院大学法学部卒。大阪スポーツの若き俊英記者として知られる。ラップ理論の先駆者でもある上田琢巳記者を師と仰ぎ、同氏からの信頼も厚い。東スポ・大スポ週末版で「ラップナビゲーター」を大好評連載中。