先週の菊花賞、秋華賞両トライアルで改めて実感したことが一つ。それはMペースと高速決着では実力通りの結果になりやすいということだ。リオンリオンがダービー大敗(15着)からの巻き返しに成功したセントライト記念は前後半5ハロン59.8秒→59.8秒のイーブンラップ。一方のローズSは2歳女王ダノンファンタジーが9ハロン1.44.4秒のコースレコードで貫禄勝ち。前者がダービー直行組によるワンツー。後者も1~4着がオークス直行組で、上がり馬の期待を懸けられた前走条件戦組は枕を並べて討ち死。やはり前後差の小さいイーブン(に近い)ラップやレコードに届くような高速決着ではごまかしが利かないということだろう。本番でも馬場レベルの精査は必須項目。ラップ理論の基本である想定Vタイムの見極めを誤らないよう細心の注意を払いたい。
今週で開催の折り返し地点を迎える中山&阪神だが、ともに絶好の馬場レベルをキープした状態。時計のハードルはかなり高いとみれば当然、無理な穴狙いは禁物だ。オールカマーはウインブライトとレイデオロの一騎打ちムード。海外帰り、休み明けと不安要素を抱えているものの、片や5勝、片や3勝の〝中山巧者〟ならまず格好はつけてくれるはず。あとは七夕賞で復活ののろしを上げたミッキースワローがどこまで迫れるかだが、当該舞台の17年セントライト記念Vがラスト2ハロン11.3秒→11.0秒の加速ラップ。瞬発力全開なら一角崩しのシーンがあっていい。
セントライト記念を終えて春の勢力図に変化が見られなかった牡馬クラシック戦線。となれば、神戸新聞杯はサートゥルナーリア、ヴェロックスの〝2強〟からの軸選びが正解となろうか。距離不安がささやかれるサートゥルナーリアだが、ダービーは自身後半9ハロン、上がり3ハロンともにメンバー最速。スピード持続力と瞬発力の両面で〝最強〟を証明したとなれば、出遅れが響いただけの敗戦とみていい。迷いなく軸指名だ。

明石尚典
AKASHI TAKANORI
関西学院大学法学部卒。大阪スポーツの若き俊英記者として知られる。ラップ理論の先駆者でもある上田琢巳記者を師と仰ぎ、同氏からの信頼も厚い。東スポ・大スポ週末版で「ラップナビゲーター」を大好評連載中。