快速マイラー・アエロリットがぐんぐん飛ばして5ハロン通過は58.4秒。2500mの長丁場とは思えぬハイラップで幕を開けた今年のグランプリ・有馬記念。結果はご存じの通り、2番人気リスグラシューが5馬身突き抜ける圧勝劇を演じてみせた。並みいるGⅠホースを問題にしなかった圧巻のパフォーマンスなら、年度代表馬当確の声が上がるのも当然。
春のグランプリ・宝塚記念も阪神11ハロン2.10.8秒の好時計で3馬身差完勝。話題性はアーモンドアイに譲っても、現役最強の称号だけは譲れない。心躍る2.30.5秒の攻防からはそんな陣営のプライドを垣間見ることができた。オールスターメンバーによる前後5ハロン差3.2秒(58.4秒4→61.6秒)のガチンコ勝負。馬券=予想の結果はともかく、久々に淀んだスローペース症候群から解放されて清々しい気持ちで年が越せそうだ。
と、一年の締めくくり的なフレーズが口をついて出たものの、28日にオーラス開催が組まれているのが近年の競馬カレンダー。有馬記念が目下の最高到達点を競うレースなら、ホープフルSは来年以降の未来予想図を描くレースといったところか。皐月賞と同じ中山10ハロンとはいえ、真冬の開催最終日。決して良好とはいえない馬場レベルを嫌う陣営が多くても不思議はないが、今年は無傷のV2馬が4頭も出走予定。本番を占ううえで必見のレースとなりそう。
好メンバーの中でも視線を一身に集めるのがコントレイル。東スポ杯2歳Sが東京9ハロン1.44.5秒の快レコード。古馬GⅡ毎日王冠、府中牝馬Sと遜色ない高速決着を5馬身突き抜けたスピード持続力&瞬発力は間違いなく世代トップクラスだ。あとはこのタイムトライアル的レースのパフォーマンスが中山内回りでも発揮できるかどうかだけ。あっさり通過なら偉大な父に続く無敗でのクラシック制覇へ当確ランプがともることになる。

明石尚典
AKASHI TAKANORI
関西学院大学法学部卒。大阪スポーツの若き俊英記者として知られる。ラップ理論の先駆者でもある上田琢巳記者を師と仰ぎ、同氏からの信頼も厚い。東スポ・大スポ週末版で「ラップナビゲーター」を大好評連載中。