今週のピックUPレース
スプリンターズS
今週は秋のGⅠシリーズの開幕を告げるスプリンターズS。ひとまずは安田記念でアーモンドアイをちぎり捨てたグランアレグリアにダノンスマッシュ、モズスーパーフレアをはじめとするスプリンターが挑む構図といったところか。
現役最強馬を問題にしなかった事実は確かに重いが、安田記念の6ハロン通過は1.08.7秒。グランアレグリア自身の前後3ハロンラップ合計も1.08.9秒(35.2秒→33.7秒)と高松宮記念(35.6秒→33.1秒=1.08.7秒)で残した数字から劇的な変化は見られない。もう一段上のスピードが要求される中山芝6ハロンなら、決して絶対的な存在とは言い切れない、の見方も十分に可能だ。
間隙を突くとすれば、やはりテンのスピードに勝る生粋のスプリンター。注目は当代きっての快速モズスーパーフレア。前3ハロン32~33秒台の入りをいとわないタイプで前走の北九州記念も前3ハロン32.4秒のハイラップ。ラップ3分割でも前2ハロン21.8秒→21.8秒と息の入らないラップを刻みながらの連確保は、夏を越してさらなる成長を遂げた何よりの証拠と言えよう。【3-2-0-0】のベストステージで小細工なしのスピード勝負。高松宮記念繰り上がりVのモヤモヤ感を払拭するためにも、今度こそ先頭でゴールを駆け抜けるしかあるまい。
先週のピックUPレース
神戸新聞杯
2冠馬コントレイルが快勝し、2着はダービー3着のヴェルトライゼンデ。条件戦経由のいわゆる上がり馬はロバートソンキーの3着が精いっぱいと、春の勢力図に変化なしを強烈に印象づけた神戸新聞杯。5ハロン通過59.9秒の淀みない前半ラップを刻みながら、後半5ハロンも11.8秒~12.2秒とラップ間の落差はほとんどなし。前後5ハロン比わずか0.4秒差のガチンコ勝負でライバルたちを楽々蹴散らしたコントレイルに現状、死角は見当たらない。アクシデントさえなければ無敗の3冠達成の可能性大。トライアルを終えての率直な感想はこうだ。

明石尚典
AKASHI TAKANORI
関西学院大学法学部卒。大阪スポーツの若き俊英記者として知られる。ラップ理論の先駆者でもある上田琢巳記者を師と仰ぎ、同氏からの信頼も厚い。東スポ・大スポ週末版で「ラップナビゲーター」を大好評連載中。