今週のピックUPレース
秋華賞
3冠ウイークの先陣を切るべく今週の秋華賞にはデアリングタクトがスタンバイ。前3ハロン34.9秒→5ハロン58.0秒の前傾ラップで抜け出した2、3着馬を直線だけでナデ斬った桜花賞。スムーズさを欠きながらも33.1秒の最速上がりで抜け出したオークス。春2冠で瞬発力レベルの違いを見せつけた2冠牝馬にとって、不安要素はトリッキーと評される京都内回り10ハロンだけといったところだろう。想定外のアクシデントさえなければ、3着以内確保はまず間違いなし。
問題は残る2枠を巡る争いだが、一歩リードは東西のトライアルを制したマルターズディオサ&リアアメリア。ただ、前者は桜花賞8着→オークス10着。後者が桜花賞10着→オークス4着とすでにデアリングタクトとの勝負付けが終わっている感は否めない。
そこで穴一考がソフトフルート。前走の夕月特別のVタイムは1週前のローズSにわずかコンマ1秒劣るだけ。前半のペース差があるとはいえ、自身後半7ハロンラップ(1.21.8秒)でリアアメリア(1.23.9秒)に大きく水をあけているのは見逃せないポイントだ。コース特性を生かした早めスパートからのスピード持続力勝負には一日の長。万が一、デアリングタクトが捕らえ損なうとしたら、おそらくこのタイプだろう。
先週のピックUPレース
毎日王冠
伝統のGⅡ毎日王冠を制したのは3歳馬サリオス。トーラスジェミニとコントラチェックが競り合う形で前3ハロン34.5秒→5ハロン58秒のよどみない流れを刻んだとはいえ、稍重で9ハロン1.45.5秒の勝ち時計は及第点以上。自身前後3ハロンラップ合計(70.3秒)でも2着ダイワキャグニー(70.8秒)、3着サンレイポケット(71.0秒)を圧倒なら、着差(3馬身)以上の完勝劇、が妥当な評価と言えよう。
6月以降、芝の古馬混合重賞で【0-1-0-12】と苦戦が続いていた現3歳世代。古馬一蹴でそのうっ憤を一気に晴らすとともに、春2冠でしのぎを削ったコントレイルの株も爆上げ。疑問視されていた世代レベルを一気に押し上げたことこそが最大の収穫と言えるのかもしれない。

明石尚典
AKASHI TAKANORI
関西学院大学法学部卒。大阪スポーツの若き俊英記者として知られる。ラップ理論の先駆者でもある上田琢巳記者を師と仰ぎ、同氏からの信頼も厚い。東スポ・大スポ週末版で「ラップナビゲーター」を大好評連載中。