今週のピックUPレース
エリザベス女王杯
今週はエリザベス女王杯。3歳VS古馬の構図は例年通りも、今年は京都の改修工事に伴って阪神へと舞台が替わる。その影響を最も受けそうなのがラスト2ハロンラップ。直線平坦の京都で行われた過去10年で、ラスト2ハロンの落差が最も大きかったのは17年の0.4秒(11.2秒→11.6秒)。直線でほとんどラップを落とすことがないばかりか、10~15年に至ってはラスト2ハロン目よりラスト1ハロンの方が速い加速ラップ、あるいは減速のないラップでフィニッシュしている。
一方、直線に坂を有する阪神ではラスト2ハロンでラップ急落が起こることもしばしば。リスグラシュー、クロノジェネシスと2年連続で牝馬が圧巻のパフォーマンスを披露した宝塚記念も19年=11.4秒→12.4秒、20年=12.1秒→12.3秒とかなりの時計を要しているのは見逃せないポイントだ。3角の坂の下りでつけた勢いそのままにゴールまで突っ走れるのが京都なら、直線の坂でもうひと伸びするパワーと持続力が求められるのが阪神。同じ関西圏の競馬場でも、求められる資質が全く違うということは頭に叩き込んでおくべきだろう。
注目したのはセンテリュオ。前走のオールカマーでようやく重賞初制覇。それも11ハロン2.15.5秒の超低速決着では一見、強調できるポイントを見出しづらいが、ラスト5ハロンは合計58.7秒とスピード持続力を要求される流れ。2→2→1ハロン分割で23.5秒→23.0秒→12.2秒のラップバランスも、馬場レベル(稍重)からすれば文句なしのハイレベルだ。今年の牝馬3冠はいずれも低速決着。数字の裏付けを持たない3歳馬相手なら、上昇気流に乗ったベテランを優先する手があっていい。
先週のピックUPレース
アルゼンチン共和国杯
アルゼンチン共和国杯を制したのは3番人気のオーソリティ。11月1日終了時点で古馬混合の芝重賞【1-2-0-16】と3歳馬劣勢のムードを払拭する快勝劇を演じてみせた。
前走・青葉賞のVタイムはダービー(2.24.1秒)のそれを大きく上回る東京芝12ハロン2.23.0秒0。骨折明けとあって一枚評価を下げてしまったのは痛恨だが、しっかりとした数字の裏付けを持つ身であったことはまぎれもない事実。たとえ超のつく高速馬場であっても、速く走るというサラブレッドの根源を体現できるのは非凡なポテンシャルの証しということを肝に銘じておきたい。

明石尚典
AKASHI TAKANORI
関西学院大学法学部卒。大阪スポーツの若き俊英記者として知られる。ラップ理論の先駆者でもある上田琢巳記者を師と仰ぎ、同氏からの信頼も厚い。東スポ・大スポ週末版で「ラップナビゲーター」を大好評連載中。