今週のピックUPレース
有馬記念・ホープフルS
今週は4年ぶりに秋GⅠのトリを務める有馬記念と前日のホープフルSのダブルGⅠ。まずは無事に2020年のゴールへの道筋を示してくれた関係者の皆さまに心から感謝の意をお伝えしたい。前人未到の芝9冠を達成したアーモンドアイ、その名牝に果敢に挑んだ無敗の3冠馬2頭(コントレイル、デアリングタクト)がいなくとも、現時点で考えられる最高のメンバーが顔を揃えた有馬記念。◎決断はずばりフィエールマンだ。
アーモンドアイの半馬身差まで迫った秋の天皇賞は、ラスト7ハロンを1.19.8秒の超速時計で走破。中盤ラップが64秒台→61秒台まで上がった春の天皇賞に続くスピード持続力&瞬発力発揮は、覚醒の時を迎えた証しにほかならない。目の上のたんこぶが取れたここは圧勝まである、が筆者の見解。今年のGⅠを席巻する実力派牝馬たち(クロノジェネシス、ラッキーライラック、カレンブーケドール)との激突が今から楽しみでならない。
現時点での最高到達点を決めるのが有馬記念なら、未来の頂上を見据えるのがホープフルS。昨年はここを足掛かりにコントレイルが3冠へ突き進んだが、今年も負けず劣らずの好素材が顔を揃えた。注目は東スポ杯2歳S完勝のダノンザキッドとアイビーSを差し切ったオーソクレース。どちらも33~34秒台の最速上がり連発で無傷のV2。できれば良馬場で両雄の切れ味比べを見たいものだが、その行方は神のみぞ知るといったとこか。
先週のピックUPレース
朝日杯FS
朝日杯FSは従来のレコードをコンマ1秒更新する阪神マイル1.32.3秒で決着。当日の馬場レベルからレコード樹立に驚きはないものの、そのスピード決着を7番人気の伏兵グレナディアガーズが制するとは正直、想定外の結末だ。
しかも前後4ハロン45.2秒→47.1秒のハイラップを自身前後3ハロン34.7秒→34.5秒で2着ステラヴェローチェに0.1秒差。ブレのない自身ラップでの快勝劇は決してフロックで演じられるものではない。距離延長に一抹の不安は残るものの、マイル前後では一気に世代の最前線へ躍り出た、の見方が妥当。現時点では来春のNHKマイルCの最有力候補と呼ぶにふさわしい存在だ。

明石尚典
AKASHI TAKANORI
関西学院大学法学部卒。大阪スポーツの若き俊英記者として知られる。ラップ理論の先駆者でもある上田琢巳記者を師と仰ぎ、同氏からの信頼も厚い。東スポ・大スポ週末版で「ラップナビゲーター」を大好評連載中。