今週のピックUPレース
中山金杯・京都金杯
再び名シーンの数々を皆さんと直に分かち合える一年となりますように。そんな祈りを込めつつ筆を執る拙稿に今年もお付き合いいただければ幸いです。さて、年が明けて早くも目の前には中山&京都の両金杯。新型コロナウイルスの脅威が沈静化しないのは歯がゆい限りだが、それでも粛々と競馬開催が続いていることにまずは感謝を申し上げたい。
実質連続開催で、ある程度時計のかかる決着が透けて見える中山金杯はディープボンドに注目。昨年の京都新聞杯Vが前後5ハロン58.3秒→60.9秒→ラスト1ハロン12.0秒。厳寒期の馬場での消耗戦は大歓迎のクチだろう。
一方、中京で行われる京都金杯はマイル1.33.0秒前後の決着を想定。ある程度速い時計を求められるとなれば、ハンデ戦でも地力優先のスタンスが吉と出そうだ。軸指名はピースワンパラディ。前走のキャピタルSが自身前後3ハロン35.5秒→34.3秒→東京マイル1.32.8秒。斤量据え置きのハンデ56キロでラップ再現なら、余力十分にVゴールへ到達できる計算だ。
先週のピックUPレース
有馬記念
2020年のフィナーレを飾った有馬記念はクロノジェネシスがファン投票1位に応えて快勝。春の宝塚記念に続くグランプリ連覇の快挙を達成した。
勝ち時計の中山12・5ハロン2.35.0秒は至って平凡も、5ハロン通過が平均ペースを大きく超える62.2秒。元々上がりを要する中山の長距離戦で超スローに陥っては、全体の時計に伸びを欠いたのも無理はない。
ただ、残り1000m地点から11.8秒→12.3秒→12.1秒→11.9秒=48.1秒と一気にペースアップしたあたりはさすが最高峰のグランプリといったところ。後半のハイレベル一貫型ラップをひとまくりしたクロノジェネシスが、年下の3冠馬2頭(コントレイル&デアリングタクト)相手にどんなレースを見せてくれるのか。アーモンドアイがターフを去った後もファンの夢をつなぐ、そんな希望に満ちた2020年のラストシーンだったのではないだろうか。

明石尚典
AKASHI TAKANORI
関西学院大学法学部卒。大阪スポーツの若き俊英記者として知られる。ラップ理論の先駆者でもある上田琢巳記者を師と仰ぎ、同氏からの信頼も厚い。東スポ・大スポ週末版で「ラップナビゲーター」を大好評連載中。