水曜の美浦は、開門から時間が経つにしたがって吹雪くことさえある荒天。そのアオリを食ったワープスピードは、木曜追いとイレギュラーな過程を経ることに。
とはいえ、6歳を迎えて進化を迎えた歴戦の雄。それで不安を抱えることはないのでは。
実際、前の週からならパートナーの質は一気に上がって同じOP馬。そのバトルクライより稽古で走らないタイプだけに、向こうが本気を出せば遅れそうな勢いしかなかった反面、シッカリと体を使っての1F11.9秒。ポリ、芝コースが閉鎖になる悪コンディションにあって、バランスの良い走りだったし、余裕のある造りだった前走からであれば引き締まってハリも出た。青写真通りの良化と捉えるのが妥当に。
そもそも、春・天皇賞に向けての重要なレースと位置づけられる阪神大賞典で問われるのは、当然ながらステイヤーとしての資質。したがって、昨年の当レースを尊重しないわけにはいかぬ。そう、ワープスピード同様、ブローザホーンが主役級なのは論を俟たぬ。
確かに、GⅠ馬の称号が跡形もなく消えた3走前はあったが、それは5歳秋も同様だし、それ以降の2戦は適性面も含め、噛み合わなかっただけで見限るのは早計。
現に、昨季はこの鞍から上昇カーブを描いた結果のタイトル獲得が。その昨年はテーオーロイヤルを目標に進めたし、道中でリキむシーンがあった分、最後に甘くなっての3着と能力を見せつけた。
加えて、ここ3走より速い直前の坂路54.8秒が強調点になる上に、いつも通り実質の追い切りになった土曜にはラスト11秒台での先着と、調教駆けしない馬としては上の部類に入る併せ馬さえ。去年より1キロ重い59キロは、それ以降重ねた実績ゆえで謂わば勲章。ポテンシャル低下は考えられぬ。
明け4歳勢の中ではショウナンラプンタ。
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柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。