OPが4頭のみであとは抽選というユニコーンSだけに、想定段階では様相が掴めないと考えるのが普通。唯、出走が確定している中にリエノテソーロがいれば話しは別。
何せ、NHKマイルC2着馬。それも1分32秒台突入の決着で3着には2馬身半と水を開けているのだ。底力なしではあり得ない業だし、その身体能力はカテゴリーを問わないということ。また、前走後も緩める雰囲気は微塵もなく稽古が積めている。計3本の併せ馬で最終追いこそしまい重点だったが、直線で軽く促されるとパートナーを一気に3馬身置き去りに。弾力性のある身のこなしで丸味帯びた体つきと高速ターフで激走した反動はない。交流重賞での2連勝が2歳時。ダートでも底を見せていないのなら堂々の主役。
叩き2走目のリヴェルディがライバル。京都のOP特別出走時、当欄で推奨したように調教の動きに奥行きを感じさせる。全身を使ったダイナミックなフォームが魅力だし、態勢を整えたとはいえ、前走が取り消し明けだったのは事実。従って、前がやり合う展開に乗じたという以上に、叩いた効果に目を向けるべき。現に、1週前にはゴールドアクターのパートナーを務めたほど。パワフルな捌きを見せつけた直前の5F69秒4を含めて中身が充実。荒削りな面が残るだけにシンプルなコーナー2回も大きなプラスと捉えたい。
古馬相手の3頭併せをこなしたのがアンティノウス。2勝目マークの1分37秒2が極めて優秀なだけに、再度の同条件なら…という気はする。しかも、攻め内容自体も申し分ない。しかし、どうも前後のバランスがまだ整っていないのだ。先々はともかく、強烈なプレッシャーに晒されても耐え得るほど力をつけ切っていないのでは。
それならばブライトンロック。はち切れんばかりの体で冴え切った毛ヅヤ。目下絶好調と断言できるのだ。追い切りにしても半マイルから3Fまでが12秒5の非常に厳しいラップで軟弱な水曜のウッドとなれバタバタになってみ不思議ない。そんな状況でもダイレクトにパワーが地に伝わるようなアクションで揺るぎのないラストだったから驚く。不可解な2走前の4着ゆえに人気薄だろう。極端な戦法で嵌るのを待つしかない現状だが、それに徹すれば食い込む余地はある。
ユニコーンSで2勝馬が除外された場合の受け皿となるのが日曜・青梅特別。ここに回ってくる3歳によっては十分に勝負になりそうだが、水曜の想定段階では降級4歳の一騎打ち。特に、叩き3走目になるイーグルフェザー。冬場の当コースでは無理なローテーションが応えて振るわず。そこからの立て直しに時間を要したわけだ。今回は中2週で2本の併せ馬。殊に、最後まで手を緩めぬままの追い比べとなった直前には2馬身先着、重い馬場を考慮すれば前回時より2秒以上詰めたと換算すべきで、本来の持久力が蘇ったからこその稽古。関西馬クインズサターンを目標にレースを進められる利もある。
土曜はまずメインのジューンS。メンバー充実の要因はプロディガルサンのエントリーがあればこそ。これが断然。2ヵ月弱のブランクを感じさせないからだ。直前には、ユニコーンS予定の3歳を含めた3頭併せで質の高さは言うまでもないし、最後尾からの追走で直線に入ってもセーブ気味で進める中、ラスト1Fを切ってゴーサイン。その地点で2馬身あった前との差を一気に詰めての併入と格の違いを見せつける。少し前向き過ぎる気性だから2000は少々長い。それでも1600万下となればGⅢでもさほど劣らないポテンシャルを素直に受け取るしかない。
土曜の八丈島特別は牝馬限定戦。一応、上のクラスでも目途を立てたルネイションの態勢が整っている。直前は重いウッドを避けての芝コースで2歳をリードする形で進める。強く追う必要がないほど引き締まった体で切れを感じさせてのラスト1Fは12秒3。連対を外していない左回りの芝に照準を合わせてきた。
唯、ここで注目したいのが3歳ミンネザンク。デビュー戦以来の芝となるが、綺麗なシルエットを持つ馬でスムーズな四肢の運び。ダートで勝ち上がれたのは能力ゆえで本質は芝。2歳時は坂路のみの仕上げで手探りだった段階。つまり、使い出しが早かったのだ。対して、ウッドで入念に乗り込めるようになった今は違う。体型的にも洗練されたのだから、今回の条件でこそ潜在部分が露わになると結論づけたい。
あとは平場の500万下。土曜12Rのソレイユドパリにとっては今回も通過点。デビュー前から好馬体が注目の的だったし、スケールの大きさを感じさせる動きが再三再四。しかし、首を上手く使えぬ走りだったしワンペース。従って、路線変更が功を奏した。大飛びでパワフルだから広い当コースに対する適性◎で、初勝利の時計、レース振りともに文句なし。中2週だけに微調整程度の4F55秒8が直前だが、数字面には表れぬ豪快な身のこなし。少なくとも1000万下突破まではノンストップ。
土曜8Rも3歳が本命でアフターバーナー。復帰戦の前走は出し抜けを食った形だが、他も楽に追走できるペースだっただけに、決め手で劣った。けれども、定石通りのレース運びで伸びかけた直線、詰めが多少甘くなったのは久々ゆえ。しまい重点の繰り返しだった過程が影響したということ。一叩きで馬体のハリが違ってきたし、先週には5F追いで余裕綽々、直前に至っては上がり38秒を切る好時計をマークと万全。ダート1300へと距離が短縮されることで負けられなくなった。
土曜7Rはダートの長距離戦でクロノスタシスが降級の利を生かす。2月の現級勝ち以来となるが、時計以上に負荷のかかる手塚厩舎のメニューを難なく消化。持ち味である力強さを十分にアピールできているから力を出せる仕上り。最終追いでこそ2歳に1馬身遅れたが、これは速さ負け。元々、稽古で動くタイプではないから心配は無用で、むしろ全体を覆う筋肉が充実してきた感じ。デビューが遅くキャリアはまだ4戦と、ここ出走の3歳以上に伸びしろがある。
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柴田卓哉
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。
柴田卓哉
SHIBATA TAKUYA
学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。