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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2017年07月19日(水)更新

外差しが利く中京でグランシルクが急浮上

サマーマイルシリーズの口火となる中京記念には関東から2頭がエントリー。いずれも首位争いに加われる立ち位置で、地力強化が窺える点も心強い。ダービー卿CT以来となるマイネルアウラートだが、ブランクを感じさせぬスッキリとした体つき。外厩での調整が進んでいることを思わせた。

朝のラッシュ時だった最終追いは他厩の併せ馬が入り混じっても自分のペースを乱さずに直線ではシッカリと反応して1F12秒7。完成域に近づいた古馬ならではといったところで、伸びやかなフォームが印象的。問題は57キロのハンデと馬場。確かに、昨年の当レースは大きな不利を蒙ったし、その時点とは別馬と言えるほどの進境ぶり。唯、そこからの1キロ増と外差しの利く目下の馬場がネックになりそう。

今の中京を味方につけられるのがグランシルク。先のマイネルアウラートに対しては4月の中山で先着している上に、広いコースで決め手に賭ける形がベスト。今回も直前は単走でスムーズな加速。見た目には速く感じないが、終わってみれば5F66秒8を余裕を持ってマーク。全身を余すことなく使ったダイナミックなフォームがあればこそ。流れ如何に関わらず矯めなければ二束三文となるだけに、展開に注文はつくが、目下の勢いに特殊な馬場コンディションのフォローがあれば、ベストより1F長いマイルでもブラックムーンに迫ることができるのでは。

対する福島のOP(日曜11R)は、水曜の想定段階で7頭と少々寂しい。ここは、昨年のスプリングSでワンツーだった2頭が主力で、最も気になるのはマウントロブソンの仕上がり。菊花賞以来となるが、帰厩後1本目にウッド5F68秒を切る時計を出せたほどで9ヶ月ぶりという感じはしない。最後の併せ馬、叩き2走目でスイッチの入っているクラシコに対しての1馬身先着も立派。唯、成長分を見越したにしても見た目には少々重い。ローカルで機敏に動けるか、といった懸念は残る。

順調さでマイネルハニーに一日の長が。特に、ここ2週は大きく追走する併せ馬で全体の動きにも余裕があるのだ。直前の5F70秒5にしても外に進路を取って測ったような抜け出し。エプソムCで絶妙のペース配分を見せたように、勢いだけだった3歳時より洗練されたということ。今回に限ればマウントロブソンとの逆転が濃厚

人気薄で面白いのがウインインスパイア。漆を滴らせたような毛ヅヤで皮膚も薄い。七夕賞で0秒4差と健闘できた所以で稽古通り調子は上がっている。中1週だけに、前回時ほどハードではないが、5Fの入りが16秒0のしまい重点で軽快な捌きに終始。昨夏に勝ち鞍を上げた1800なら別定戦でも

土曜では1000万下のいわき特別が興味深い。開幕週のGⅢで惜しい3着と復活を遂げたロードリベラルにとって福島は自分の庭。瞬発力を生かすには格好だからだ。けれども、420キロに満たない馬にとって重賞で結果を出した直後。反動が気になる。調教自体は順調にこなせているが追い切りではセーブ気味。結果、デビュー前の2歳に1馬身遅れなら、上昇度といった点で他に譲る。

同じ3歳ならミッキースワロー。こちらも重賞で上位を窺えるレベルで、ここに至る過程でワンクッション入れたのが効果的。実際、少々硬かった肩の出がスムーズに。加えて、脚色劣勢だった直前でも4F53秒7での併入。ウキヨノカゼに対して1秒のビハインドがあった上だから、内容的には大きく優っていることになる。少し忙しい距離でも早目スパートが利くタイプなら不安なし

あとは、当クラス常連のエニグマバリエート。3月以来となるが、戸田厩舎らしく運動量が豊富で格上相手の併せ馬を2本も含んでだから寸分の狂いもない。福島では1分46秒台の持ちタイムがあって、スタミナに優ったタイプというイメージは取り払うべき。

次に取り上げるレースも芝1800で日曜の栗子特別。マイネルラプティスはラスト12秒4とシャープな捌きを披露して好調キープ。体型的に平坦がベターということがあるし、前走で抑える競馬をマスターしたことが状態面以上に強調できるところ。

より魅力を感じるのがゴールドスミス。元々、速い時計で動く馬だが、今まで以上に鍛錬を重ねているからだ。1週前より遅い5F69秒0だった最終追いにしても外目のコース取りで負荷は相当。レース間を開けて馬体に実が入った点にも触れておきたい。

最後は芝1200で土曜メインの白河特別から。春までとは見違えるようなレース振りだったミエノドリーマーにとって昇級は形だけ。確かに、以前はこの距離で流れに乗れなかったが、スプリント路線を目指してから日が浅かったというエクスキューズも。輸送を挟んでの中2週だから4Fからの平凡な時計でも十分。シッカリとメニューをこなせていることに価値を求めるべき。けれども、3頭併せで2歳に1馬身遅れだった点が示す通り稽古駆けしない分、当欄で強調することもないのでは。

今週はたびたび登場する戸田厩舎、久々になるダイトウキョウは好仕上がり。本数自体は少ないが気性的に追い込むと消耗するからむしろ理に適っている。最後にビッシリ追っての5F67秒1なら間に合ったとするのが妥当だし、推進力を全く感じさせなかった前回の休み明けとは全く違う。福島に関しても裏づけがあるのなら狙いすました1戦と見做せる。

登録のあった先週のダート1150をスキップしてここにぶつけてきたマンカストラップが最大の惑星。以前はどちらかと言えば坂路にウエイトを置いていた馬だが、ここ2週ではウッドで好時計連発。しかも、エンジン点火からのスピード感が抜群で、柔らかみのあるフォームに様変わり。要するに、ひと皮剥けたのだ。芝、ダート問わずフラットなコースがピタリと思わせる身のこなしで53キロのハンデも大きなフォロー。

プロフィール
柴田卓哉

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。



柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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