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競馬コラム

柴田卓哉:美浦追い切りレポート

2017年11月23日(木)更新

天皇賞での無念を晴らせるデキ サトノクラウン

JCにエントリーする関東馬は3頭のみだが、いずれも覇権争いに加わるに相応しい能力の持ち主。当然ながらその追い切りには注目が集まる中、水曜に最終調整を済ましたのが藤沢厩舎の2騎

先陣を切ったのが1度目のハロー明け、向正面からウッド入りしたレイデオロ。他2頭を前に行かして3頭縦列を形成、直線では定石通りに最内にもぐり込んで併入で余裕綽々。4F54秒2のしまい重点が突出しているわけではないが、研ぎ澄まされた馬体でダービー馬としての貫禄を感じる。輸送を控えていながら速い時計で仕上げざるを得なかった前走時よりゆとりを持って調整できた点にも好感が持てるのだ。課題は緩い流れしか経験していないこと。逆に、速い上がりを使えるような形なら上の世代にも太刀打ちできる。

ワンテンポ置いての登場がソウルスターリング。こちらはその次のハロー明けで行き出しは5F。極悪馬場だった天皇賞でも6着と辛抱したほどで経験値はUPしたし、それは毎日王冠を叩いて上向いている段階だったからこそ。気品に満ちたシルエットだけに良馬場なら更に良い上に、当距離の持ち時計も文句なし。
4Fから先行馬との2馬身差をキープして迎えた直線では弾むような身のこなしでどこまでも伸びて行きそうな勢い。ラストは12秒1で相手を2馬身置き去りにする文句なしのフィニッシュ。唯、道中でどうにか抑え込んだように前向き過ぎる点が気懸かり。鋭い動きといっても、あくまでオフでなくてはならない調教での仕草だけに、精神面に一抹の不安を感じざるを得ない

となれば、美浦での最右翼はサトノクラウン。本格的な始動が先週からだったのは、久々だった天皇賞が不良馬場での競馬。当然ながらそのケアーに重点を置いていたから。とはいえ、歩様に硬さはないし、重厚感のある造りで馬体のハリも◎。反動はないと考えて良い。
最終追いは木曜。厩舎の一番手グループでウッド入り。定番である4Fからのしまい重点であった。隊列が綺麗にまとまったのが3F手前という3頭併せで内にもぐり込むコース取りというのも青写真通り。持ったままの2歳2頭に比べると脚色で劣ってゴール板で漸く並びかけられたという結果で、ラスト13秒3と要した点で黄色信号が灯りそう。しかし、元々が稽古駆けしないタイプで前走時もシャープさといった点では疑問符がついたから心配無用。
また、雨足が目に見えるほどの悪天候で馬場は相当に重い。4F55秒6でも1秒半程度の誤差があるとみて良い。それよりも最後に併せ馬を敢行した点、パワフルなフォームで駆け抜けられたことを重視すべき。対キタサンBということなら、大阪杯が示す通り、2000は相手の土俵。2F延びての利はこちらにある。

日曜、京都ではやはり最終レースにメインの京阪杯が組まれている。実績馬に比較的有利な別定ということなら春のスプリント王・セイウンコウセイの巻返しがあって良い。いつも通りに単走で仕上げるパターンでも2週にわたって好時計をマーク。いずれも外ラチに触れんばかりのコース取りだけに価値は増すのだ。しかし、それは前走も同様で、有利に働く筈の道悪で14着の大敗。ここも疑ってかかるべきか。

西下組からはナックビーナス。結果的にはジリジリとしか伸びなかった新潟の直線競馬でも際どい2着と能力のほどを見せつけた。そもそも、前目には辛いキーンランドCで粘り腰を見せた際には久々で太目。叩きつつ調子を上げているのは間違いないところで、内目だったとはいえビッシリ追って3F38秒を切る追い切りには並々ならぬ意欲が表れている。主張すればハナを奪えるメンバー構成だし、これまでの対戦から本来なら分が悪いメラグラーナの存在は気になるものの、直線がフラットな京都なら話しは別。易々とは捕まらぬ筈。

府中に戻って他の特別戦を。まずは土曜メインのキャピタルS。成長段階に入った3歳勢の動向が気になるところで、GⅠ馬サトノアレスにとっては大幅なメンバー弱化。しかも、富士Sは馬場に泣かされながらも6着と崩れていないのだ。5F71秒0と追い切り時計は遅いが、坂路併用での乗り込みは入念で最後は微調整程度で十分だということ。

逆に、ダイワキャグニーは鍛錬に鍛錬を積んでの臨戦。特に、3頭併せだった直前は5Fで先頭との差は2秒。そのビハインドを跳ね返しての同時入線で中身は極めて濃厚。鞍上の意のままに進められるようになった点を進境と捉えて良いし、捌きも実に力強い。体型的に初となるマイルも守備範囲。

古馬勢からはロジチャリス。復帰戦は守備範囲から微妙に外れる2000だった上に空っ下手の道悪だけに度外視できる。今回は叩いた効果で馬体が引き締まったし、距離短縮。念には念を入れての最終追いは6Fから。脚色が劣ってのラスト13秒2を不安に思う向きもあろうが、質の高い併せ馬で相手が絶好調のプロディガルサン(日曜・ウェルカムS予定で確勝級)であれば仕方なし。今度こそ。

これを取り上げるのなら、それに付随してレアリスタも俎上に載せなければならぬ。昨5月のOP特別で脚を余しながら、ロジチャリスに対しての0秒3差があるからだ。また、併せ3本でスッキリとした体つきなら態勢が整っていると考えるのが普通。唯、どうもトモが薄く本来の活気が戻っていない気がする。様子見が妥当か。

これと併せて先行しての同時入線だったフォギーナイト(土曜8R)を推奨したい。今回は昇級戦となるが、それでブレーキがかかるような器ではない。脚色で劣ったのはしまい重点のメニューだっただけで謂わば適性の問題。それよりも良質な筋肉を纏っての帰厩で尋常でない成長ぶりに着目。コーナーで制御するのに苦労する小回りでも4馬身差の圧勝で1分44秒台の好時計だったから、搭載エンジンが違うということ。広い府中なら紛れはない。

同じく1000万下、日曜のオリエンタル賞をピックUP。ここも昇級戦になる2頭の勢いを買う。まずはエンジニア。朝の早い時間帯に長目追いを敢行。そのパートナーは格上で4馬身追走が入りの形。にも関わらす、最後まで相手を窺う余裕を見せながらの1馬身先着でアクションが実にダイナミック。マイル1分41秒0で決するような前走の馬場が得意なわけがなく、それでも一完歩ごとに伸びての差し切り。体質の弱さが出世を阻んでいたが、潜在部分が露わになったと捉えて良い段階に。

あとはサンティール。鹿戸厩舎にしては速い時計で攻めたのが1週前。従って、直前は5F70秒超え。しかし、全身がバネといった雰囲気に加え。切れ味には定評のある外の馬より回転の速いフットワークで以前とは動きが違ってきた。460キロ台とは思えないのは、柔らかみのあるフォームで四肢が思いのほか伸びているから。その充実ぶりを素直に受け止める。


プロフィール
柴田卓哉

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。



柴田卓哉

SHIBATA TAKUYA

学生時代は船橋競馬場で誘導馬に騎乗。競馬専門紙『1馬』在籍時には、 「馬に乗れる&話せるトラックマン」として名を馳せる。 30年以上にも渡りトレセンに通い詰め、 現在も美浦スタンドでストップ・ウオッチを押し続ける。 馬の好不調を見抜く眼に、清水成駿も厚い信頼を寄せる調教の鬼。 また東西問わずトラックマン仲間たちとの交友関係も広く、トレセン内外の裏情報にも強い事情通。

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